No.262:播磨の精密機械
青馬『やっとここまで来たぜ…鬼頭…。お前の見えない背中を追い続けて、俺はここまで来たんだ!!』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
カクッッ!
ズバァーーーッッーッンッ!!!
≪119km/h≫
『ストライク!!!』
《初球はカーブ!!ワンストライクを取ってきました!!》
桜沢『青馬大輔…。』
余語『ストレートは最速148km/h。変化球はカーブ、縦のスライダー、チェンジアップ、カットボール、ツーシーム。』
北峰『どれも精度が高く、緩急もある。普段はカットボールとツーシーム、チェンジアップを中心に打たせて取るピッチングでゲームを作り、三振がほしい場面では一気にギアを入れ換えて勝負する。ウイニングショットの縦のスライダーはわかってても打てないと言ってたな。』
余語『その投球スタイルゆえにスタミナも抜群。そして特筆すべき点は、その制球力。』
北峰『別名は播磨の精密機械。』
余語『猪子石の小木曽もドラフト1位候補と言われていたが、こいつはもうひと味もふた味も違う。』
北峰『競合確実と言われている…ドラフト1位確実右腕…。』
余語『総合力なら日本の高校生投手でも屈指だ。もはや。』
桜沢『お前ら詳しすぎ…。』
余語『いやいや、お前もセンバツ決勝で戦ってるだろうが。』
桜沢『俺はアイツからホームラン打ったけどな。全然覚えてねえ。』
余語『打席でなんも考えずに打てるやつは楽でええなぁ。まったく…。』
北峰『春のセンバツでも初回から投げてれば何点くらい取れたかな?』
余語『んー。よくて俺らで2、3点じゃね?青馬が自滅しない限り。』
北峰『センバツ決勝ではあえて9回まで投げさせなかったんだよね。青馬。』
余語『まあ北頼の先発の背番号10の三宅が絶好調だったからな。』
ビュワァァッッッッッーー!!
ズバァーーーッッーーッッンッッ!!
小宮(インロー…一杯…?)
『ストライク!!バッターアウッ!!』
《見逃し三振!!まず先頭の小宮を見逃し三振!!》
小宮(初球…外のボールからアウトローいっぱいに決まるカーブ。二球目…アウトハイぎりぎり一杯へのストレート。三球目…インロー一杯のクロスファイヤーのストレート。コントロール良すぎ…。)
カキンッ!!
《初球のツーシーム!!打球はセカンドの伊藤へ!ツーアウト!4球でツーアウトをとってきました!》
『3番、ファースト、大場くん。』
ビュワァァッッッッッーーッッッッ!!!!
大場(インコース!俺の得意ゾーン!!)
カクッ…
夏井(なつい:キャッチャー)
(引っ掛かったな。)
大場(カット…ボール??)
カーン!
《これはドン詰まりのピッチャーゴロ!!スリーアウトです。初回、5球で0に抑えました!》
風岡『ナイピッチ。今日も順調か。』
青馬『カットボールをボール4分の1個分ミスった。まぁあんま変わんなかったけど。そこがダメだ。アンタは?』
風岡『インパクトが弱かった分スタンドまでいかなかった。まだまだ練習不足だよ。俺らは。』
青馬『帰ったら練習?』
風岡『当たり前だろ。下手な俺らが練習しないでどうする?まぁお前は投げた後だから下半身中心の筋トレだな。ただ、今は試合中だ。勝ってからの話だな。それは。』
『4番、ピッチャー、青馬くん。』
青馬『俺も早く鬼頭と投げ合いたいし、さっさとあのピッチャーを引きずり下ろしてくるよ。』
風岡『ふっ。やってみろ。』