No.258:舞野、力尽く。
ズバァーーーッッーッンッ!!!
『ボール!フォア!!』
《フォアボール!!!この回2つ目!!!ノーアウトフルベース!!!逃げ場無し!!》
余語『コントロールはかなりいい。だがこの回2つ目…。そんで昨日の準々決勝でも閉星相手に13イニングを完投。他の試合でも全試合完投…。情報だと東東京大会も全試合完投らしいな…。この舞野ってやつ…。』
桜沢『1年生ながらもう十分すぎるよ。ほんとにスゴいことだよ。ここまですべて一人でなげきって、啓稜を追い詰めて…』
北峰『早く決めて楽にしてやれ…。啓稜学院。』
余語『それって…?』
北峰『もうこりゃ啓稜の勝ちだ。』
舞野『俺は…みんなの期待に応えたいんだ…。』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
ズバァーーーッッーッンッ!!!
『ボール!!カウント3ボール1ストライク!!』
《フォアボールで同点だぞ!!》
氷(もうこいつ…限界じゃねぇか…。)
舞野『情けねぇ…みんなが折角点とってくれたのに…』
春川『駿太郎。』
高『結果なんてどーでもいい。』
山嵜『折角のこの舞台だ。楽しめ。』
原『もっと楽しそうにやれよ。それがお前だろ?らしくねぇぞ。』
舞野『みんな…。』
綾田『打たれたら仕方ねぇ。力不足だっただけだ。ただ、魂でぶつからなきゃ、越えられる壁も越えられない。』
“お前の最高のボールを、俺のミット目掛けて投げ込んでくれやいいんだよ。”
高『お前らしいピッチングしろ。忘れたか?打たれたヒットはいま、18。失点はわずか3だ。こっからがお前の得意分野だろ。』
舞野『ありがとうございます。もう、大丈夫な気がします。』
《さあタイムが終わりました。打席には今日5打数4安打の氷!同点、逆転することができるか!?》
舞野『らしいピッチング…最高のボール…』
“この甲子園、まだ楽しみきってねぇ!!!”
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
氷『なっ!?』
ズバァーーーッッーッンッ!!!
≪147km/h≫
余語『球威が戻った!?!?』
北峰『タフだな…。』
氷(とことん…やってくれるじゃねぇか…。舞野…。おもしれぇ!!やってやろーじゃねーか!!!)
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
氷『うおらぁぁ!!』
ズバァーーーッッーッンッ!!!
《空振りの三振!!!ここにきて球威が戻った!!舞野駿太郎!!!素晴らしい1年生!!!》
舞野『俺はこのチームでもう一度、勝ちてぇんだ!!!!!』
『2番、レフト、開発くん。』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
《初球は空振り!!》
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
《二球目も空振り!!》
舞野『バットにすら…当てさせる気はさらさらねぇ!!!!』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
ズバァーーーッッーッンッ!!!
《空振り三振!!オールストレートで先程ホームランの開発を空振り三振に仕留めた!!バットに一球も当たりません!!これでツーアウトランナーフルベース!!!啓稜学院、今度こそ追い込まれた!!》
開発(さっきは少しバテてた舞野を打ったが…こいつ…進化したか…?)
『3番、キャッチャー、棟方くん。』
《啓稜学院、ここで打席にはキャプテンの棟方!》
舞野『ハァ…ハァハァ…ハァ…。』
綾田(駿太郎!!あと一人だ!!)
舞野『うおりゃッッッ!!!』
ズバァーーーッッーッンッ!!!
《空振り!!!相変わらずのこの球威!!》
青龍寺『認めてやるよ…舞野駿太郎…。』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
ズバァーーーッッーッンッ!!!
《インコース一杯!!見逃しでツーストライク!!!》
舞野『ハァ…。ハァハァハァ…ハァ…。』
綾田(一球カーブで緩急と目線を上げる…。明らかなボールでいい。)
舞野(おっけー。トオル…。)
《追い込まれた啓稜学院!!この勝負の行方は!?!?果たして!!!》
舞野『ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァハァ…。』
《さあセットポジションからの第三球!!!投げる!!!》
舞野『あと…一踏ん張り!!!』
ビュウッッッ…
綾田(え…。)
《おっと!?これは…》
舞野『汗で…ボールが滑っ…』
綾田(真ん中高めに…浮いた…?)
棟方『…。残念だ。』
舞野『バカ…それは勝負球じゃ…』
カキィーーーッッーッンッ!!!!!!
綾田『…』
舞野『…』
ドーン!!!!!
《入ったァァァァ!!!!!!!!3番棟方、逆転、サヨナラ、満塁、ホームラン!!!!!光山高校の、夢と希望を打ち砕く、キャプテンの一撃!!!!優勝候補筆頭の啓稜学院、窮地に二度追いやられるも、最後は、逆転サヨナラ、グランドスラムでゲームを決めた!!!!!!マウンド上、これまで好投を続けていた舞野、マウンドでうずくまる!!!》
高『ホラ。駿太郎。立て。』
舞野『すいません。すいません。すいません…。僕の…失投です…。』
高『泣くなとは言わん。でも、最後くらい、笑ってくれよ。な?』
山嵜『ナイピッチ。お前らには来年、再来年がある。絶対にリベンジしてくれ。』
高『ホラ。駿太郎。笑おう。』
舞野『…はい。今まで…本当に…ありがとうございました…。生意気な後輩でごめんなさい。』
高『整列だ。行くぞ。』
綾田『駿太郎。』
舞野『徹…。最後は…ごめんな…。』
綾田『またスパルタ指導してやるよ。』
『『『ゲーム!!!』』』
『『『ありがとうございました!!!』』』
都立光山│000 000 003 1│4
啓稜学院│000 000 003 4│7
『よく頑張ったな!』
『ナイスゲーム!!』
『胸張って帰れ!!』
春川『いいゲームしても勝たなきゃ…意味ねぇんだ…。』
綾田『冬史。駿太郎。この悔しさは絶対、晴らそうな。』
舞野『あたりめーだろ…。』
北峰『最後のカーブは完全に失投だな。』
余語『キャッチャーも外してたしな…。』
桜沢『舞野も悔やんでも悔やみきれないだろうな…。』
北峰『この悔しさをバネに、来年以降、注目だな。』
桜沢『あの啓稜の終盤の打撃。本気だったな。』
余語『今大会啓稜を初めて本気にさせたな。光山は。』
次回は2週間後です。
ごめんなさい。