No.254:都立の星
『さきほどのの準々決勝では第一試合、閉星高校vs都立光山高校の試合は延長13回の末、都立光山高校が勝利し、都立勢史上初のベスト4進出、第二試合では啓稜学院が愛媛の昔治西高校を圧倒し、順当にベスト4進出。第三試合はナイターの中の大激戦の末、延長13回で邦南高校が楽秦工業高校にサヨナラ勝ちを収めています。まもなく明日の組み合わせ発表です。』
準決勝の組み合わせ
第一試合:啓稜学院vs都立光山
第二試合:邦南vs北頼
鬼頭博『次はキャプテンか…。』
大場『あと今年のドラフト1位候補の青馬 大輔も居ますね…。』
鬼頭博『青馬…ねぇ。懐かしいな。』
大場『対戦経験あるんですか?』
鬼頭博『いや、中学日本代表の時、チームメートでよ。なんかやたらライバル視されててよ。(詳しくはNo.200参照)』
大場『まっ。今の僕らに誰が相手でも怯むことはないですね!』
鬼頭博『おう。勝とうぜ!明日も。』
片野『おい。いいか。』
副島『おい。監督の集合だ。』
片野『明日、そして決勝は、今日の試合のように投手総動員でいく。』
氷室『え!マジスカ!』
片野『お前は無しだ。』
氷室『うわーん!』
片野『まず明日の先発は小宮。中継ぎで大場。抑えに鬼頭を持っていく。それぞれ3イニングずつだ。明日は延長まで持っていくつもりはない!9回で勝ちきる!その気持ちでいけ!』
『『はいっ!』』
氷室『…。』
副島『珍しく落ち込んでるな。どーした?』
氷室『いや、甲子園に来て…自分だけあんま活躍できてないんで…。フジ(藤武)とかは…自分の武器生かしてて…いい感じじゃないですか…。』
副島『1年がなに悩んでんだ。生意気だぞ。お前らは1年らしく思いきってやればいいんだよ。別になんも考えなくていい。』
氷室『ちょっと…考えすぎてましたかね。』
副島『お前がいなかったら俺らは甲子園に来てねぇかもしれねえ。だからお前が打てなくても、誰も不快に思わねえよ。』
氷室『ありがとうございます。』
副島(いつもは調子こいてんのに…甲子園に来た途端、ビビりすぎなんだよ。馬鹿野郎。)
…
《さあ5回の裏、ノーアウト満塁!啓稜学院のチャンス!打席には3番キャプテンの棟方!!》
舞野 駿太郎(まいの しゅんたろう:都立光山高校エース、一年生)
『どーするよ。トオル。』
綾田 徹(あやた とおる:都立光山高校キャッチャー、一年生)
『逃げれねぇべ。ぶつかるしかねぇよ。この肉体兵器どもに。』
舞野『決まりだな。』
綾田『逃げんじゃねぇぞ。』
舞野『当たり前だろ。』
《さあ最強、啓稜学院のキャプテン、青龍寺の女房役、棟方!!この場面で先制打を打つことができるか!?都立光山高校は毎回のピンチ!!》
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
ズッッバァァーッッッーーーーッッッーッンッッ!!!
≪146km/h≫
『ストライィーーッックッ!!!』
棟方『くっ…手がでなかった…』
《見逃し三振!!!都立光山高校の一年生バッテリーの強気の攻めに手が出ませんでした!!》
綾田(まずひとつ。でもまだ3分の1…)
舞野『まだこんなやつがいるからな…。この打線には…』
『4番、ファースト、青龍寺くん。』
棟方『このまま毎回チャンスを貰いながら…あと一本が出ない…。そんなことになったら負けチームのパターンになるぞ。青龍寺。絶対打て。』
カァァクゥゥゥゥッッッッッ!!!
ズバーーッンッ!!
青龍寺『くそったれが…。』
《ウイニングショットのパームボールで4番青龍寺も三振!!ピンチに非常に強い一年生、舞野、3番4番を連続三振!》
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
南條(なっ!?)
ズッッバァァーッッッーーーーッッッーッンッッ!!!
《見逃し三振!!三者連続三振!!!この回も無失点に抑えました!!!舞野駿太郎!!》
綾田『ナイピッチ!5回まであの啓稜を無失点に抑えてるのはいいぞ!』
舞野『つっても0点じゃ勝てん。あの1年ピッチャーから早いとこ打とうぜ。』
青龍寺『迫田。』
迫田『はい。』
青龍寺『点取られたらぶっ殺すからな。』
迫田『…任せてください。』
…
カキィーーーッッーッンッ!
《3番の綾田も繋いだ!!さあ9回の表、都立光山高校の攻撃、今日の試合最大のチャンスが訪れています!!ツーアウトフルベース!!》
『4番、サード、春川くん。』
舞野『冬史。決めてちょ。』
春川 冬史(はるかわ ふゆふみ:都立光山高校4番、一年生)
春川『率直すぎるだろ。まっ。そこの円の中で見てな。4番の仕事を。』
舞野『あ、そんなこと言って打てなかったら恥ずかしいぞ!』
春川『本心をお前は率直に表現しすぎなんだよ!お前はもーちょい気を使え!』
舞野『まっ。打てば文句ねぇよ。』
迫田 憲(さこだ けん:啓稜学院背番号18、1年生)
『同じ1年…なおさら打たれるわけにはいかねぇ!』
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
春川『ここまで来たら…どっちの気持ちが強いかの勝負だろ!!!』
カキィーーーッッーッーーーーーッッンッッ!!!!
舞野『あ…打った。』
《右打者の春川の打球はライトへ伸びていくーーーっ!!頭上を…》
“越えたーーっ!!!”
《三塁ランナーはもちろんホームイン!!二塁ランナーも当然帰ってくる!!一塁ランナー綾田も三塁を回って一気にホームイン!!!》
綾田『よっしゃぁぁぁ!!!』
春川『どんなもんじゃい!駿太郎!』
《なんと…なんと…9回の表…ついに均衡破れる!!!ツーアウトフルベースから、4番春川のライトオーバーの三点タイムリーツーベース!!!3対0!!!なんと都立の星、光山高校、優勝候補筆頭の啓稜学院を追い込んだ!!!!次の9回裏で啓稜学院は3点以上取らなければいけません!!》
青龍寺『なにやってんだ…クソ野郎!』
迫田『くっ…打たれた…。』
青龍寺『交代だ…。俺がいく。』
迫田『すいません。』
『啓稜学院高校、シートの変更をお知らせします。』
舞野『今さら遅いぜ。啓稜さんよ。』
『5番、ピッチャー、舞野くん。』