No.253:激闘終結!
《さあ延長13回表、打席には鬼頭天!!対するマウンドには、鬼頭博行!!!時刻は9時!!この勝負の行方は鬼頭兄弟に託された!!》
鬼頭天(兄貴とガチで対戦すんの…なんやかんやで初めてなんだよな…俺…でもさぁ…甲子園で兄貴と対戦できるなんて…ガキの頃は夢にも思ってなかったよな…。やっぱこの試合…人生で1番…楽しいや!)
西口(右打者には超高速シュート、左打者にはシンカー気味に落ちていくチェンジアップ…。鬼頭天の場合左打者だ。チェンジアップが非常に効果的…。)
ビュゴゥゥゥゥッッッッ!!!
鬼頭天(ふんがっっ!!)
ブンッッ!!
ズッッバァァーッッッーーーーッッッーッンッッ!!!
≪155km/h≫
《初球は空振り!!!155km/h!!!》
西口(博行先輩も相当気合い入ってんな…。こりゃなかなか打てんぞ…。)
鬼頭博(次で追い込んで一気にカウント有利に持っていきたい…。出し惜しみは無しだ。)
《セットポジションからの…第二球!!!》
ビュゴゥゥゥゥッッッッ!!!
鬼頭天(外角直球!!!連続で空振りしてたまっかよ!!)
カァァクゥゥゥゥッッッッッ!!!
鬼頭天(は!?!?)
ズッッバァァーッッッーーーーッッッーッンッッ!!!
≪151km/h≫
《二球目はストライクからボールになる超高速シュート!!ツーナッシングと追い込んだ!!!》
鬼頭天(この人…ばっかじゃねーの?シュートって…普通打ち損じにさせるための球であって…空振り奪いにいく球じゃねーだろ…?)
西口(やっべぇ…後逸したらとんでもねぇことになるぜ…。)
桜沢『鬼頭天は苦しいな。』
余語『鬼頭のボールに完全に戸惑ってる。まあ当然っちゃ当然だが。』
鬼頭天(どうする…まだ他にスライダーとチェンジアップもある…。3球勝負は無いよな…この場面…。バッテリーは何がなんでも俺を撃ち取りに来てる…。)
鳴島剣『天!!』
鬼頭天(?)
鳴島破『小細工は要らねぇ。考えることも必要ねぇ。』
鳴島剣『本能で打ってこい。』
鬼頭天『!!』
“そうだ…!この最高の…俺が長年望んだ対決が今ここにある!考えることは要らねぇ!本能で、ただこの勝負を、”
ビュゴゥゥゥゥッッッッ!!!
“楽しみたい!!!”
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!!
ズッッバァァーッッッーーーーッッッーッンッッ!!!
≪156km/h≫
増田『…。』
鬼頭天『…。』
《空振りの三振!!!最後は自己最速タイの甲子園最速の156km/hの釣り球で空振り三振!!!ツーアウト満塁からリリーフした鬼頭博行、4番の鬼頭天を3球で片付けた!!!》
鬼頭天『完敗…だ…。手も足も出なかった…これが…これが…俺の兄貴…鬼頭博行のピッチングか…。』
増田(これは…相当効いたパンチだぜ…。)
…
ビュゴゥゥゥッッッッーーーッッーーーッッーン!!!!
《これは高い!!!》
カッキィィィーーーッッッーーーッッンッッ!!!!
小宮『いったー?!?』
西口『入れ!!!』
《高めのボールを完璧にとらえた!!!伸びていく!!どうだ!?入るか!?!?入るか!?大きいぞ!!3番、エースの、大場の打球は伸びていくーーーっ!!》
ボサッ…
《入った―――――――――!!!》
大場『おっしゃぁぁぁぁ!!!!!』
《延長13回の死闘、ついに決着!!!最後は、3番、エース自らのバットで試合を決めた!!!延長13回、ついに鬼頭天力尽きました!!!!》
鳴島剣『負けた…のか…』
鳴島破『高校野球も…終わっちまったのか…?』
鬼頭天『…。…、……。』
《今ホームイン!!!邦南高校、延長13回の死闘の末、楽秦工業高校に9対8で勝利を収め、準決勝進出!!!》
楽秦工│500 000 030 000 0│8
邦南高│000 070 100 000 1│9
『ゲーム!!!』
『『『ありがとうございました!!!』』』
副島『ありがとな。』
増田『優勝しろよ!俺らの分まで勝ってくれ!
!』
副島『任せろ!』
鬼頭博『楽しかったぜ。悪童コンビ。』
鳴島破『俺らもねぇ。』
鳴島剣『なかなか楽しかったよぉ。』
鬼頭博『またいつか、勝負しよーな。』
鬼頭天『…。』
鬼頭博『天。』
鬼頭天『兄貴…。』
スッ…
博行が天を抱きしめる
鬼頭博『次お前が実家に帰ってきたとき、またキャッチボールやろうな。』
鬼頭天『兄貴ィ…』
“約束だぜ?”
“おうっ!”
…
鳴島剣『なぁ破刃…。』
鳴島破『なんだ。』
鳴島剣『お前…どーする?明日から。』
鳴島破『まだわかんねぇな。プロ志望するかわかんねぇ。なんか今は…興味ねぇや。』
鳴島剣『だよな。』
鳴島破『なぁ剣刃。』
鳴島剣『なんだ。』
“これからは…万引きとかも…やめね?”
“俺も…それ言おうとした。”
“決まりだな。”