No.248:悪球打ちの天才
『9回の表、楽秦工業高校の攻撃は、2番、ショート、鳴島剣刃くん。』
鳴島剣『さぁーて、ショータイムの始まりだぁ!』
奥田『これは勝ちフラグ立ってきたな。』
西口(2番のS・9の鳴島剣刃からの打順か…。4番の鬼頭天にも回る…。正直言って、山場だな…。)
《さあマウンド上、大場翔真、これまで8イニングを投げ打たれたヒットが7、奪三振18、四死球は6つ、失点は8です。》
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
『ボール!!』
西口(雨で中断が入ってから明らかにペースが崩れた…。コントロールも見る影なし…。ここまで崩れるものか…。)
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
『ストライク!!』
西口(だけど適度に荒れてるだけだ…。むしろバッターは絞りにくいか…。)
増田『大場もバテてきたんじゃね?球が荒れてるぜ。』
下川『なら完全に剣刃ペースだな。』
増田『?』
鳴島破『あいつのプレースタイルは水仙そのもの。なぜなら剣刃のプレーを水仙が真似したから。水仙は所詮、剣刃のコピーでしかない。本家は剣刃だ。身体能力や天才的な応用力を含めてな。そして剣刃には3つの称号がある。』
増田『S・9、悪童コンビ、…他は?』
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
西口(まずい!当たる!)
《おっと!?これはデッドボールか!?》
鳴島破『悪球打ちの天才だ。』
カッッキィィィーーーーーッッッーーーッンッッ!!!!
大場『なに!?』
《胸元に来たボールをのけ反らずに強気のフルスイング!!!これはライト線!!フェアか!?ファールか!?》
西口(大丈夫だ…あの球を打ってフェアになるわけ…)
ポンッ
《フェアだ!!!!ノーアウトからランナーが出た!!!》
西口『どんな体幹してやがんだ!あのボールを…』
《これは長打になる!!!バッターランナー鳴島剣刃は高校野球界屈指の俊足!!!速い速い!!!もう二塁を回る!!!ボールは内野に帰ってきただけ!先頭の2番、悪童コンビの鳴島剣刃、デッドボールコースの球を強引に引っ張りスリーベースにしてみせました!!いやぁ…柔らかい体の使い方です!》
西口(一点入れば…勝ち越し…。)
大場『一点もやるつもりはねぇ…。』
西口『タイム、お願いします!』
大場『来なくていい!』
西口『え?』
大場『絶対抑えてやるよ。』
『3番、レフト、奥田くん。』
《さあ8対8の同点で迎えた9回表、ノーアウトランナー三塁で打席には先程ツーベースの奥田セペス!!!3番の意地を見せることができるか!!》
大場『8点取られても監督は俺を代えなかった。まだ小宮もいる。博行先輩もいる。だけどこのマウンドは譲れない…。俺はなんだ?なぜこの場面を任されてんだ?それは…』
“俺がこのチームのエースだからだ!!!”
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
ズゴォォォォーーーーーーーッッッッーーーッンッッ!!!!
≪150km/h≫
『ストライーク!!!』
《この回少し球威が落ちてきたかのように見えましたがしかし、9回にきてまた150km/h!!!恐るべき2年生!!!》
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
カァァクゥゥゥゥッッッッッ!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
≪124km/h≫
《2球目はフォークで空振り!!!ツーストライクと追い込んだ!!》
西口(さぁ見せてやりましょう。翔真先輩。)
大場『どこにいるかわかんねぇけどよ…スカウトさん。これが…大場翔真だ!!!』
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
カクゥッッ!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
≪141km/h≫
《空振り三振!!今日19個目!!最後は速いフォーク!140km/h台の高速フォークで3番奥田を空振り三振にきってとった!!!》
奥田(フォークの球速、変化量をここまで変えられちゃ…敵わねえぜ…。頼んだぜ…。天…。)
『4番、ピッチャー、鬼頭くん。』
野中『敬遠はしないんだな。』
川越『俺も敬遠がよかったと思ったが…。さすがは怖いもの知らずの邦南と言うべきか。』
《さあ一打勝ち越しのチャンス!!打席には4番、鬼頭天!!この場面で価千金のタイムリーを打つことができるか!?》