No.247:届かせろ!お前の青春!
『7番、レフト、松坂くん。』
『プレイッッ!』
増田(これがお前の進む道…俺たちは信じてるぜ…!天…!)
松坂(同点にはなったが競った試合の終盤は後攻有利!)
《さあマウンド上1年生右腕、スーパーサブマリンこと、アンダースローの鬼頭天、振りかぶって、第一球…投げ…!?》
松坂『は!?』
鬼頭博『おい!』
増田『届かせろ!お前の青春!』
《これは…オーバースローだ!!!》
西口『は!?なんでいきなり!?』
ビュゴゥゥゥッッッッッ!!!!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
松坂『はや…』
≪145km/h≫
《初球は大きく高めに浮いてボールですが…なんと…この甲子園準々決勝にきて、1年生のアンダースロー、鬼頭天が突然のオーバースローです!!》
増田『負けんじゃねえぞ…!天!』
鬼頭天『ったりめーだ!』
松坂(だが、オーバースローじゃ通用しないからアンダースローだったはず…。これまで幾多の好投手を打ってきた俺らがそう簡単に撃ち取られるかよ!)
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
松坂『ど真ん中!』
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
≪143km/h≫
《二球目は空振り!!!!これは完全に振り遅れ!!!》
松坂(ちょっとまて…143km/h…?そんなバカな…。なんなんだこのストレートは…間違いなく体感じゃ150km/h越えてやがるぞ…。)
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
松坂(低…。)
キュウィィィーーーッッーッンッ!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
『ストライークゥ!』
松坂(低めのボール球だと思ったら…。)
《さあこれで2ストライク1ボール!!ストレート三球で追い込んだ!》
増田(松坂はストレートに滅法強い。だが今の天のストレートを打てるやつなど存在しない!)
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
松坂『うっ!』
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
《空振り三振!!最後はインコース高めのボール気味の球でしたがバッター松坂、らしくないハーフスイング!思わず手が出てしまったといった感じです!》
『8番、サード、島谷倫暁くん。』
…
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
島谷倫(当たら…ねえ?)
《最後も高めのボール球でしたが空振りの三振!!!邦南打線、この回からオーバースローになっている、鬼頭天のストレートに誰一人当たりません!》
『9番、センター、慶野くん。』
慶野『どんな感じでしたか?鬼頭天。』
島谷倫『ボールは見える。だけど、バットに当たらねえんだ…。』
慶野『…。』
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
≪144km/h≫
《初球はストライク!》
慶野『確かに…ね。めちゃ伸びる…。』
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
慶野『だけどそう簡単に撃ち取られるかよ!』
スッ…
《セーフティバントだ!!!》
キュウィィィーーーッッーッンッ!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
増田(ふうっ…。まさかこれほどとは…。)
慶野『どういう球だ…。』
《セーフティも空振り!!バントですらバットに当たりません!!放送席からでも明らかにわかるボールの伸びです!!》
慶野『さすがは…あの鬼頭大先輩の弟ってだけはあるな…。』
《さあ第三球!!》
ビュゴォゥゥゥウーッッッッーーーッッ!!!
ズバァァーーーッッッーーッンッッ!!
慶野(見えてるんだけど…けど…当たんねえ…。)
《空振り三振!!!この試合、攻略されかけた鬼頭天、なんとこの回から突如オーバースローになり、かつ、オールストレートで三者連続三振に斬って取った!!!しかも誰一人バットにすら当たりません!!同点のまま9回の攻防に移ります!!!》
増田『ナイピッチ。』
鬼頭天『やっぱ俺は、上から投げたいです。やっと気づけました。ありがとうございます。』
増田『礼は勝ってから言うんだな。』
鬼頭博『おもしれぇ…。それでこそ俺の弟だ…。天…。』