No.239:鬼頭兄弟記Ⅳ
そして5ヶ月ほど経過して
時は正月
天は仲よしみのジョナサンファミリーのアメリカから日本に帰ってきた
当時天は中1、博行は中3
ガラガラ…
苑子『天が帰ってきたわよ。』
天『懐かしいな。』
博行『…。』
天『おい。兄貴。野球やめるってほんとかよ。』
博行『あ?あぁ。もうやめるよ。』
天『それでいいのかよ。』
博行『別に。今さらお前になに言われたって変わりやしねーよ。』
天『…、ふざけんな…。』
博行『は?』
天『俺は兄貴を越えるために…アメリカに行ったんだ!俺はあの地でひたすら野球に打ち込んだ!それなのに…俺のこの気持ちはどーしたらいーんだ!?』
博行『知らねーよ。この下手っぴが。』
天『――――――!?』
博行『おれさぁ。お前の野球姿とか興味ねえんだよ。よくもまあ目の前でこうも野球のはなしできるよな。親だって俺に気を使って野球の話は一切しねーんだぞ。お前にわかんのかよ。この俺の気持ちが。自分を高めるために、お前よりも野球に打ち込んだ俺の気持ちがよ。』
天『アンタ…それ本気で言ってんのかよ!』
博行『本気だ。なあ天。お前さぁ、ウザいよ。』
天『―――――――――――!』
博行『…てなわけで、勉強してるんだよね今。餓鬼に付き合ってる暇はねー。俺は勉強で生きてく。元々頭よかったし。お前はとっととアメリカらへんで呑気に野球でもやってろよ。』
天『…。アンタ…変わったよ…。』
博行『悪いか?こっちだってイライラしてんだよ。もう二度と俺の前で野球の話をするな。』
天『…じゃーな。もうアンタとは会わねーよ。さよぉなら。』
バタン…
苑子『博行。なにもあんなに言わなくても…。天、昔から博行の野球やってる姿が大好きだったのよ…。尊敬する人は兄貴って。よくいってたわ。』
博行『…俺は野球を失った…。こーでも言わなきゃあいつだって切り替えられんだろ。まぁ…野球の話いきなりされてイラついたってのは本音だけど…。大丈夫。アイツなら必ず、俺を越える選手になれる。』
天『兄貴ィ…なんでだよ…兄貴ィ…。』
“クソ兄貴ィ!!!!!!!!!!”