No.237:鬼頭兄弟記Ⅱ
天『ねえ兄貴。今日も一緒に練習してくれないの?』
博行『ちょっと最近いかなくちゃならねえところがあるんだ。勘弁してくれ。』
天『…。』
チャリンチャリン…
天『約束したのに…。嘘つき。』
…
そしてある日
テクテク…
カーン!
『うわぁ!また打たれた!』
『まだまだだな!哲都!』
『じゃあ次、俺行くよ!』
『来い!翔真!』
ズバァーンッ!
『相変わらずすげー球だな!』
鬼頭天『あれは…兄貴…。今日も用事があるはずじゃ…』
ズバァーンッ!
『くっそぉ!俺を打ち取る年下なんて初めてだ!お前、いままで俺が見てきた年下で1番すげーよ!』
鬼頭天『え…』
…
次の日
天『兄貴ィ。今日こそ、キャッチボールやってよ。』
博行『何回も言わせるなよ。俺にそんな暇は無いんだよ。あと少しで出掛けなきゃならねえ。』
天『そっか…』
…
カキィーン!!
『うわっ、打たれた!』
『今日は俺の勝ちだな!翔真!』
天『やっぱり…兄貴の用事って…』
…
博行『ただいま~。』
丈陽『おい博行。最近帰りが遅いな。なにやってんだ?』
天『…。』
博行『別に。いいランニングコース見つけたから走ったりしてるだけだよ。』
天『…。』
…
次の日
天『兄貴ィ。今日も…キャッチボールしてくれないよね…?』
博行『何回も言わせるな。じゃーね。一人で練習してこそ、人は強くなれるんだ。俺も一人で練習させてくれ。』
カキィーン!!
『わー!二日連続ー!?』
『今日も俺の勝ちだな!』
天『…。兄貴…。俺のことよりも…あいつの方がお気に入りなんだ…。』
“とりあえず今日はこんくらいにしといていいか?またやってやるからよ。”
“約束だぜ?兄貴。”
天『…。兄貴ィ…。酷いよ…。』
“お前はオリジナルになったほうがいいんじゃねえか?”
天『オリジナルか…。俺があいつさえ越えれば…また兄貴は練習してくれるかな…。』