No.231:真のストレート
《ツーアウトから3番大場のデッドボールでランナー出ましたが続く兄の鬼頭博行を変化球で空振りの三振に仕留めスリーアウトチェンジ。初回の攻防は5対0で楽秦工業がリードしました。》
大場『なんでいっつも…こんな苦しいマウンドなのかな…。俺。』
西口『2回!しまっていくぞぉーっ!』
鬼頭博(さあ翔真…お前の本当のお手並み拝見といきますか。手負いの状態でどれだけのピッチングができるか…。勝て!相手にも、自分にも!)
ビュウッッッ!!
ズバァァーーッーッンッ!!
≪150km/h≫
『ストライク!バッターアウト!!』
《まずこの回先頭の奥田セペスを見逃し三振にきってとった!!自己最速タイの150km/h!!この回の大場は何か違うぞ!!》
大場『こんなことで負けられっかよ…。』
『4番、ピッチャー、鬼頭くん。』
鬼頭(アメリカに野球留学した俺にとってこのくらいのストレートなんて屁でもねえぜ。)
ビュゴゥゥゥッッッ!!!
鬼頭天『!』
ズバァァーーッーッンッ!!
『ストライーク!!』
≪150km/h≫
鬼頭天(コイツ…確かに速い…。)
川越『大場はこのムラがまだ未熟さを感じさせるな。』
野中『ああ。初回のピッチングは本当の大場の姿じゃない。この勢いのある、自分の魂ごとミットに投げ込むあのストレートこそアイツの本当の姿…。』
ビュゴゥゥゥッッッ!!
鬼頭天(だが怯むな!何回も空振りする球じゃねえ!!)
カァァクゥゥゥッッッッッ!!
ズバァァーーッーッンッ!!
鬼頭天『フォーク…』
《二球目のフォークボールは空振り!!ツーナッシングと追い込んだ!!》
鬼頭天(なるほどね。これが中学日本代表のエース…大場翔真ってことか…。初回のアイツとはもう出会えないか。)
鬼頭博(天を撃ち取ればまた流れを引き戻せる…。)
鬼頭天(こんなフォーク待っててもそう打てやしねえ…。だったらストレート一本絞り…。)
西口(フォーク投げとけば無難だ。次もフォークで…)
大場は首を振った
大場(いや、ここは押しきる…!)
西口(でもストレートは初回に打たれて…)
大場(俺に任せろ――――――)
西口(ったく強気だなぁ…。やっちゃってくださいよ?)
鬼頭天(俺が打てないやつなど存在しない。屈しろ。そして悟れ。)
(俺には勝てない―――――!!)
ビュゴゥゥゥッッッ!!
鬼頭天『え…。』
ズゴォォォーーッッーーッーンッッッ!!
『ストライーク!!バッターアウト!!』
《最後は見逃し三振!!最後はど真ん中のストレートに手が出ず!!》
大場『おしゃぁぁぁ!!!』
鬼頭天(ふっ…。)
西口(…?…笑った?)
吉川『珍しいな。天。お前が見逃し三振なんて。』
鬼頭天『あぁ。読みが外れただけですよ。』
吉川『?』
鳴島破『どーした?』
鳴島剣『見逃し三振か。』
鬼頭天『別に。ちょっと計算が狂っただけですよ。』
ズゴォォォーーッッーーッーンッッッ!!!
『ストライーク!!バッターアウト!!チェンジ!!』
《5番の吉川も三振!!大場翔真、初回とはうってかわって3、4、5番を三者連続三振に仕留めました!!》
鬼頭天(最後の球…ボールが見えなかったぜ…。おもしれえ…。久々にぞくぞくする奴が現れた…。)
鬼頭博(何でコイツは怪我してからスイッチが入るんだか…。逆境の力はさすがだがな…。)