No.215:エンドラン
ビュゥゥッッ!
今池(今度は横から…)
ブンッ!
《空振りの三振!6番の今池も三振でこの回も美鶴学舎高校ランナー出ず!!邦南の1年生、小宮哲都の前に8イニングで一人も塁に出ることが出来ません!!》
西口『ナイピッチ。』
小宮『いくら僕がパーフェクトピッチングをしてもこっちも0点じゃあ勝てないよ…。点取ろう!』
赤嶋『小宮哲都…ここまでとは…全打席塁に出して体力を消耗させているはずなのに…』
『8回の裏、邦南高校の攻撃は、9番、レフト、藤武くん。』
大場『博行先輩…。』
鬼頭『なんだ?』
大場『この回。回ってきますよ。』
鬼頭『なぜわかる。』
大場『何となくです。ただ、俺らが今まで幾度となく死闘を繰り広げてきて養った勘というか。』
鬼頭『あいにく今日の俺は打てねえよ。』
大場『そんなこともないと思いますよ。』
鬼頭『赤嶋を理解していれば当然の結論だ。』
大場『赤嶋のセンセイショナリズム…。完璧ではないですよね?』
鬼頭『そりゃな。情報量に左右される面はある。ただ、俺のことを親よりも理解しているアイツから俺は打てねえ。虚しいがな。』
大場『もしかして…赤嶋…桜沢とか苦手だったりします?』
鬼頭『よく知っているな。その通りだ。赤嶋は桜沢だけは相手にしたくないと言っていた。なんせ打席ではなにも考えていない。息すらしてないからな。洗脳もくそもない。』
大場『じゃあ博行先輩も桜沢になりきってみればどうですかね?』
鬼頭『バーカ。付け焼き刃で出来るもんじゃねえんだよ。』
大場『博行先輩が打てば…この試合は勝てる気がします。』
鬼頭『…。そんな期待しないでくれ。みっともないだろ。』
氷室『期待しますよ。』
鬼頭『?』
氷室『鬼頭先輩ならなんかやってくれそう…!みんな、そーゆー気持ちで見てますよ。打席の鬼頭先輩。』
コン!
《セーフティーバント!》
赤嶋『大丈夫だ。十分予測の範囲内…』
塩釜口『オーライ!』
《サードの塩釜口のダッシュは速い!!》
パスッ
《あーっと!握り代えの際にファンブルしてしまった!先頭の俊足藤武が出塁です!!》
赤嶋『なにやってる…。次は小宮だぞ…。』
塩釜口『わりぃ。』
栄『気にすんな。』
『1番、ピッチャー、小宮くん。』
大場(バッテリー、さあどうする。同点の8回裏、ノーアウト一塁で打席にはピッチャー。この場面でも歩かせるのかな?今までは小宮の前に一人もランナーが居なかったから歩かせてたけど。)
赤嶋『理想は内野ゴロで二塁フォースプレー…。』
片野『次の一瞬が勝負だ。』
大場『はい。』
ビュゥゥッッ!
《ランナースタートを切った!》
水仙『キャッチャーは赤嶋だぞ!?』
赤嶋『そうきたか!!』
小宮(どーせ内野ゴロを打たせる配球だろ?だったら注文通り内野ゴロを打ってやるよ!)
カキーン!!
《エンドランだ!打球は三遊間!》
パシィィィッ
《ショートの多賀谷、素晴らしい反応で捕球!》
多賀谷(二塁は無理!一塁は投げるのか!?)
赤嶋(仕方ない…!)
『投げろ!』
『アウト!!』
《一塁はアウトでワンナウトランナー二塁!!》
『2番、ライト、副島くん。』