No.212:小宮哲都
水仙『ヒロvs頭也…。俺ら南阪のエースvs南阪の扇の要…。世間にとっちゃ楽しみな対戦なんだけど…正直元チームメイトとしてみると…こんなに勝ち負けの見える勝負もないよな…。』
菊地『そんなに赤嶋のリードってすげぇのか…?』
水仙『アイツは生まれ持った感性がすげぇからな…。打者心理…相手の感覚、イメージ…ビジョン…そーゆーものを勝手に共有するというか…、相手のことをよく理解しているというか…なんつーか全てお見通しなんだよ…』
『アイツの目にはね…。』
カキーン!
《打ったがこれは力のない打球!センターの名古屋がガッチリつかんでスリーアウトチェンジ!》
赤嶋(外野まで運んだだけさすがともいうべきか…。やはり舐めすぎも禁物だな。)
鬼頭『わりぃ。』
小宮『大丈夫です。僕が守り続けます。』
大場『野球は最後に一点多く取ってれば勝ちなんですよ!』
鬼頭『…。よし!やったるぜ!』
ビュゥゥッッ!
名古屋『!』
ズバァァーッーッーン!
≪141km/h≫
名古屋(これが小宮の横手…。サイドスローでも140km/h越えか…。ホントにこいつ一年かよ…。)
ビュゥゥッッ!!
名古屋(今度は上から…。)
ブンッ!
≪145km/h≫
《空振りでツーストライク!》
名古屋(上からでも140km/h中盤…。末恐ろしい一年坊だ…。)
ビュゥゥッッ!
名古屋(また横から…)
(なに!?)
ブワァァァッッ!!
名古屋(浮き上がった!?)
ギュルギュルルル!!
名古屋(あ?)
“どこだよ…?ボール…は?”
ズバァァーッーッーン!
『ストライーク!バッターアウト!』
《見逃し三振!!オーバーハンドとサイドハンドを投げ分ける一年生の小宮哲都、まず2回先頭の4番、名古屋を変化球で見逃し三振に斬ってとった!》
名古屋(データだけだったから舐めてはいたが…コイツ…本当に3番手なのか…!?)
赤嶋(誤算がもう1つあったな…。浮き上がるスライダー…これがここまで浮き上がるとは…。)
西口(ライジングスライダーと四段ドロップを投げわけ、ストレートも上横両方から140km/hをコンスタントに越える。中学までのウイニングショット、チェンジアップ、その握りで横手から投げることでシンカーにもなる。これだけの球種さえあればいける!)
小宮『ワンナウト!ワンナウト!』
亀丸『さすがは黒シャーのエースと言うべきか。』
多賀谷『なんか新しい球種も良い精度だし、全国準V投手は違うね。』
亀丸『広大。』
多賀谷『なんだ?健太。』
亀丸『不正入学野郎どもには負けてられんぞ。』
多賀谷『当たり前だ。哲都…拓磨…覚悟しておけ。』