No.202:ミトコンドリア
『3番、ファースト、大場くん。』
《さあそして打席には今日3回持たずノックアウトされているエース大場!!ピッチングの借りはバッティングで返すことができるか!!》
高田『大場はバッティングも素晴らしいものを持っているからね…。』
谷口『長打力も侮れないですしね。』
薮内『逃げるな…。攻めろ…。』
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
ズッッバァァーーッーーーッ…ン!
大場『くっ。』
《初球は空振り!完全に振り遅れた!!》
大場(コイツ…序盤からほとんどペースが落ちてねえ…。すげぇな…。これが投打に渡りチームの柱か…。)
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
『ストライク!!!ツー!』
《今度はアウトロー一杯!!二球で追い込んだ!!》
大場(認めてやるよ…。薮内琢雄…。憧れるよ…。あんたみたいなプレースタイル…。だけど…)
ビュゥゥッッッ!!
上村了(このシンカーで御開きだ!!!)
スッッ…
大場(だけど…だけどよ…。)
上村了(かかった!)
“““投球で活躍できなくても…打撃…守備…走塁…他のことで挽回するチャンスがあるのが野球なんだ!そして…そのチャンスで挽回できる奴が、漢なんだ!!”””
カキィィィーーーーッッーーッン!!!
《アウトローボール気味のシンカーを流した!!!》
上村了(よくジャストミートしたな…。が、このボールを打ったところでファールにしか…)
薮内『切れろ!切れろ!』
上村了(…!!!)
大場『イッケェェェェーーッ!!』
《打球はフェアか!?ファールか!?》
ポーン…
薮内『な…』
大場『あ…』
『『『ウワァァァァァァァァァァ!!!!!』』』
《入ったぁ―――――――――!!!―――――――レフトポール直撃!!!!!3回途中ノックアウトされたIQ王子こと、二年生エース、大場翔真の、逆転、ツーランホームラン!!!!!!!!9回表、5点差ツーアウトランナー無しから、6連打で6得点!!!!!これが…これが春の王者、享神を破った、愛知代表邦南高校の実力!!!この土壇場でのここの勝負強さ、持ち前の勝負根性が生み出した、大逆転劇!!!》
薮内『すげーな…。』
上村了『へこんでんのか?』
薮内『バカか。んな分けねーだろ。』
上村了『じゃあなんだよ。ミトコンドリア(詳しくはパソコンで検索)。』
薮内『ミトコンドリアじゃねーよ。確かに丸っこい体してるけどよ。』
上村了『ごめんごめん。豚雄。』
薮内『豚雄じゃねーよ!琢雄だよ!そこ間違えんな!』
上村了『だって体型が丸いって言うか…何て言うか…』
薮内『ストレートすぎんだろ!!(笑)』
『ははは!』
薮内『なんだよ。レグホン頭。』
松本『いやいや…負けたら…お前らのその絡みも見れなくなっちまうのかなってよ…。』
薮内『負ける?誰が。』
松本『良かった。お前がまだ闘志を失ってなくて。そうだ、まだ勝負は終わっていない。一点ならまだいくらでもなんとかなる。だからこのあと、落ち着いて抑えようぜ。』
薮内『おう!当然だよっ!』
…
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
鬼頭(くっ。球質が重い上にインコースに…。)
カーン!
《打球はピッチャー薮内の正面。スリーアウトです。しかし展開急転。邦南高校が大場のホームランなどでこの回6点をとって逆転に成功しました。まもなく9回裏、陽灘学園の攻撃が始まります。》