No.201:癖
《1年生小宮の打球はセンターの頭上を越える―――――!!》
薮内『俺のシンカーが!!』
《三塁ランナーは越えるのを確認してからベースを蹴ってホームイン!二塁ランナーもハーフウェイの体勢からホームイン!一塁ランナー俊足の慶野も返ってきた!!三点タイムリー!!小宮も三塁まで進んだ!!10対8!!!邦南高校9回ツーアウトランナー無しから3点とってきた!!》
『2番、ライト、副島くん。』
小宮『タイムお願いします。』
《ランナーの小宮がタイムをとってバッターの副島の元に駆け寄ります。陽灘学園も伝令を出します。》
…
副島『ホントか?』
小宮『はい。少しの差ですけど…。わからないことはないと思います。』
副島『そうか。わかった。やってみよう。』
上村了『大丈夫だ。今日こいつはお前のシンカーに翻弄されている。シンカーで最後に決めにいく配球でいくぞ。』
薮内『おっけ。任せろ。勝ってるのはこっちなんだ。』
上村了(初球はシンカー。)
副島(どっちで来る…?)
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
スッッ
『ストライク!!!』
副島(初球はシンカー…。次はなんだ…?)
上村了(次は内角にスライダー。)
副島『!』
(違う!グラブの角度!小宮の言う通りだったぜ!ストレートか!?スライダーか!?)
ビュゴゴウッッッッッ!!!!
カクゥゥッ!
『二球目スライダーに空振り!』
副島(スライダーか…。8回から使い始めたあれか…。)
上村了(次はボールになるシンカー。)
副島(初球と同じ!シンカー!)
ビュゥゥッッッ!!
スッッ
上村了(これでゲームセットだ!)
ズッッバァーン!
『ボール!』
薮内『よく見たな…。』
上村了(なんか嫌な見逃し方だったな…。だがそうなればこれで終わらせてもらおう。)
薮内(アウトロー直球ね。さっきのシンカーの軌道からそのまま見逃し三振っと。)
副島(来たな。次で仕留める。)
ビュゥゥッッッ!!
《アウトロー直球!!!素晴らしいコース!!》
ガッッ!
薮内『はっ!?』
上村了(なんだお前…。なぜそんなに踏み込める…!?まさか…)
カキィーーーッン!!!
《打球はレフト前!!うまく流していきました!!キャプテン副島のレフト前タイムリーで三塁ランナー小宮がホームイン!!これで10対9!!一点差!!そして同点のランナーが一塁に出ました!!9回ツーアウトから5連打で一点差!!!そして打順はクリーンナップ!!!》
上村了(まさか…配球が読まれている…?だとしたら…ピッチャーの様子が変わったとしか…。こっちは8回からリードも変えている…。1年の頃によく出ていた…あのグラブの角度が変わる癖が…?…だとしたら…なぜだ…。あの癖は完璧に直したはずじゃ…。)
薮内『なんかさっきので、足がいてーな…。』
上村了『…!!そーゆーことか!!!8番島谷の打球をさっき足に受けてから…!!』
《一点差ツーアウトランナー、一塁!!打席には3番の大場翔真!!!》
“““さあ、試合の行方が分からなくなってきた!!!!”””