【第327話:まさかのレジ】
「次のお仕事は……スーパーのレジ打ちですね」
受付嬢がさらっと言った。
「なんで戦い系の仕事回してくれないの!?」
ロイが叫ぶ。
「四十肩なので、過度な戦闘は危険と判断しました」
「職業差別ーーー!!」
横でミリエルがキラキラした目をしている。
「レジ打ちって何? レジを……殴るの?」
「殴らない!!」
こうして二人は、街の大手スーパー《マート・マート》に派遣されることとなった。
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「よし、ミリエル。ここに商品を置いたら――ピッて読み込んで、値段を画面に出すんだ」
「任せてロイ! 私、やればできる天使だから!」
**ミリエルの初レジ**
「ピッ♪」
(お、うまいじゃないか!)
「ピッ♪」
「ピッピッピピピピピィィィッッッ!!!」
「なんで連打した!?」
ミリエルは、読み取り機に興味津々で連打しまくる。
「ロイ! ほら見て! いっぱい光るよ!? すごいねレジ!!」
「それお前、同じ商品が30個分カウントされてるからな!?」
「え!? ひとつが30個になるの!? 魔法!?」
「魔法じゃねぇよ!!!!!!」
周りの客がざわつく。
「ちょっとお嬢ちゃん、私の牛乳30本買わせる気!?」
「いえあの、魔法のせいで……いえ違う、天使のせいで……」
「言い訳がひどいです!」
店長が怒鳴る。
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ミリエルは次の客にも笑顔で言う。
「いらっしゃいませ! 一緒にお祈りしますか!?」
「そういう店じゃない!!」
「袋はいりますか?」
ロイが隣で例を見せる。
するとミリエルも真似する。
「袋はいりますか? それとも天の光で浄化しますか?」
「絶対に後者を提供するな!!!!」
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突然、スーパーの入り口に人がなだれ込む。
「動くなぁぁぁ! これは強盗だ!!」
客が悲鳴を上げる。
「みんな手をあげろ!!!」
ミリエルは素直に両手をあげる。
「はいっ!」
ロイは――
「……あげられねぇ……っ!」
強盗が怒鳴る。
「おいそこの! お前! 手をあげろって言ってんだろ!」
「ム、ムリなんだって!! これ以上は上がんねぇの!!」
「ああ!? ふざけてんのか!?」
「あのな、俺、職業が四十肩なんだよ!!!!」
「職業で四十肩ってなんだよ!!!!???」
店内が一瞬ざわつく。
「マジだよ!! ギルドカード見る!?」
ロイがポケットからギルドカードを取り出そうとするが――
肩が痛くて胸ポケットに手が届かない。
「ほら! 見ろ! 四十肩でカードにも届かねぇ!! これ嘘じゃねぇんだよ!!」
「いや、証拠になってねぇよ!!」
強盗は混乱する。
「ど、どうすりゃいいんだよこれ……!」
ミリエルがぽそっと言う。
「強盗さん……その……手、あげられない人に、手をあげろって言っちゃ……かわいそうだよ?」
「天使に説教されてる!?」
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強盗が焦り始めたその時――
ミリエルの背中がピカッと光った。
「ロイ、みんな危ないから……光るね!」
「おい待て、ここスーパー!」
ミリエルが光魔法を発動しようとしたその瞬間。
「やめろォォォ!! 生鮮食品が腐る!!」
店長の悲鳴が飛び、ミリエルがびくっと止まる。
「えっ……光ってダメなの!?」
「冷蔵品ダメにする気か!!」
強盗がさらに混乱する。
「なんなんだここはぁぁぁ!?」
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結局、ミリエルの光りかけた瞬間にビビった強盗が腰を抜かし、
警備員にあっさり捕まった。
ロイは捕まる瞬間も肩をさすりながらため息。
「強盗より……四十肩の方が強敵だったな……」
ミリエルは胸を張る。
「ロイ! 私、今日も仕事がんばったね!」
「……お前のおかげで、ある意味な」
強盗は泣きながら連行されていった。
「なんだこの店……なんだこの二人……もう嫌だぁ……!」
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