不毛でも努力は実ると思う
スタッフからの電話の間、普段とは違い、息が止まるぐらいに、静かにしてナナさんがスタッフとの会話を終えるまで、こちらが話しているわけでもないのに緊張していた。
「50回目の収録時にスタッフとゲストが来るそうだ」
「放送日が決まったっていう報告だけじゃなかったんですか?」
「いや、50回目取り終えた後に1回目の放送を流すそうだ」
「なんでそんな面倒な事をするんですかね」
わざわざこちらの50回目の収録など、またずに早めに放送してほしい。
「50回目とって良い記念になるからだろう」
「そういわれれば、特別感が少しは出てくるわね」
「スタッフが多少であるがお祝いもしてくれるそうだ」
「それは嬉しいですね」
特別感を出して、記念となるようにスタッフが配慮してくれたと思えば、それはそれでありがたい話ではある。
「そんなわけだから、とりあえず50回目撮るのを、来週の土曜日にしてくれと言う話だった」
「つまりそれまでに49回目の放送とっていれば、後は余裕を持って遊べるわけね」
「遊ぶ前に、掃除とかも念のためしておいた方がいいだろうな」
「校内全部とかいわないわよね?」
「余裕があれば、そのほうがいいだろう」
掃除が大変に面倒な事になりそうな気がする、あまりこないスタッフのために校内全部の掃除をするというのは、大変骨が折れそうだ。
私と同じように、あまり掃除について考えたくないのか、アミさんが話題を変えてきた。
「それで結局ゲストって誰?」
「ミケらんだな、本当はミャーちゃんず全員呼べたらよかったみたいな言い方をしていたな」
「今や、個人個人でも忙しいんですかね」
「そうみたいだな、サイン会とか地方のイベントに呼ばれているみたいだしな」
「そういえば、来週サイン会がこの町であるとかメールがあった気がしますね」
数日前に来ていたメールの内容を思い出した、実に急がしそうで何よりですねとだけ、送ってそのまま忘れていた。
「そのついでで、ラジオの出演承諾したんじゃない?」
「もしかしたら、ミケらんが一番暇なんですかね」
「まぁそれでも私達よりは、忙しい事には変らないだろうがな」
「こっちは、個人どころか、グループでの活動もですからね」
「ひよなみの名前どおり、ヨチヨチあるいてる感じよね」
「まぁそうですね」
そのうち、ヨチヨチ歩きすぎて、目的地にたどり着けないような感じだが、ナナさんの言うとおり、前に進めていれば問題はないはずだ。
フラフラ歩いて、どこ歩いているのか分からなくなっているような感じもするのが、難しいてんだとは思うけれど、ナナさんが気合を入れるように両手を合わせ、パンとその場をしめるように音をならした。
「まぁこれからも、頑張っていくか、反応がよければ結果につながっていくと思うぞ」
「良い結果という事ばかりじゃないと思うけど?」
「それなら、もっと頑張ればいいだけだ」
「ちなみに、結果がよかったらどうなるんですか?」
「それに満足せず、もっと頑張ることが重要だな」
「どちらにせよ頑張る未来しかないわね」
「なんか不毛のような気がしますね」
「まぁそれも今更のような気がするわね」




