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誰かは得をしているかもしれない。

「ナナだけ得してない?」

「美人は得っていいますからね」

「ヒナには一生縁が無い言葉ね」

 

 顔の美しさには縁の無い私はそう言われては、返す言葉もないので、黙ってしまったが、なんでアミさんはそんな事言い出したのだろうか。

 

「私は別に得などしてはいないだろう?」

「思いっきりしてるわよ」

「まぁまぁアミさんも、ほら小さい子が好きな異性とかにはもてそうじゃないですか」

「いや、そうじゃなくてラジオよラジオ」


 ラジオといっても、特にナナさんが得しているような感じはないのだけど、アミさんなりにナナさんにコンプレックスやら何やらあるのだろうか。

 元々天使と悪魔だし、ナナさんが歩み寄っているとはいえ、何か不満があるのかもしれない。


「ラジオで何が得していると言うのだ?」

「ナナだけメインコーナーをやっていない」

「普通メインコーナーがあるほうが喜ぶと思いますけど、まぁ確かにやっていない気がしますね」


 コーナーの犠牲者というか、確かにそういったものにはなっていない気がする。


「そうか」

「いや、そうかじゃなくて、あんたもなにかメインのコーナーをやりなさいよ」

「そうだな、やってみたい気持ちもあるしいいだろう」


 素直にうなずくナナさんだが、どうも嫌な予感がする、確かにナナさんは美人で何事もそつなくこなすイメージがあるけど、ナナさん一人に任せたら犠牲どころではなくなってしまうような気もしてくる。


「ちょっと待ってください」

「なによヒナ、ナナも乗り気だからいいじゃない」

「アミさん考えてみてください、ナナさんだけにコーナーを考えさせたらまずい気がします」

「なんでよ」

「文化祭で学校の歴史の展示物つくりそうな感じがします」

「確かにナナならそういう事やりかねないわ」

「何か馬鹿にしていないか?きちんと考えている」

「参考までにどんなものを?」

「折角学校にいるなら、皆の昔の作文の朗読でもしたらおもしろいかと思ってな」


 おそるおそる聞いた結果、蛇がでてきた。


「絶対いやよ」

「なんでだ、皆の心を一つにするいい機会だと思うが」

「例えそんな素晴らしい考えでも、私達巻きぞえじゃないですか」

「駄目か」

「あんたに考えさすと割とろくな事にならないわね」

「そこまでいうなら、お前たちが考えてみればどうだ?」


 そういわれても、すぐには思いつかない。

 言いだしっぺのアミさんに期待の意味をこめて見てみるが、どうもあちらも思いついていないようだ。


「アミさん何か思いつきますか」

「いやヒナ、これが不思議と思いつかないのよ」

「期待はずれですね」

「いやこう、そつなくこなすイメージが邪魔して、私達が被害こうむりそうなのよ」

「じゃあ作文の朗読でいいんじゃないか?」

「それは絶対嫌よ」


 ナナさんが、得しているように思えるのは日ごろの振る舞いなのだろうか、美人だからなのだろうか、どうもよくわからないが、まぁ少なくとも私とアミさんが、ナナさんより被害を抑える事はむずかしいのかもしれない。

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