虎の関門と、飛将・布川達也
第81話:虎の関門と、飛将・布川達也
関山長助による鮮烈な一太刀で最初の関所を打ち破った反菫山連合軍は、歓喜の声をあげて進軍を再開。ついに都を護る最大の要衝――『第二の関所』へと到達した。
しかし、高く聳え立つ堅牢な城門の上から連合軍を見下ろす男の姿に、全軍の威勢は一瞬にして凍りつくこととなる。
男の名は、布川達也。
都の暴王・菫山卓が全幅の信頼を置く、この国最強と謳われる無双の猛将であった。
その手には一撃で軍勢をなぎ払う巨大な『大矛』が握られ、その背には人間の背丈ほどもある強大な『大弓』が威風堂々と背負われていた。
「遠藤だの武田だの……群れてしか戦えぬ雑魚どもが、この関所を越えられると思っているのか」
布川は嘲笑うと、背の大弓を滑らかな動作で引き絞った。
一矢――。それも、通常の矢とは比較にならない太さと威力を誇る特大の剛矢である。
――ヒュオッ……バァァァンッ!!
空気を置き去りにする衝撃波とともに解き放たれた一矢は、はるか下方に陣を敷いていた連合軍の先鋒へ着弾。
防具ごと兵士たちを貫通し、たったの一矢で十名もの兵を一網打尽にして吹き飛ばしたのだ。
「ぐわぁぁぁッ!?」
「な、なんだ今の矢は……!? 船の錨でも飛んできたのか!?」
挨拶代わりの一撃で刻まれた、絶望的な格差。
歓声に湧いていた連合軍の兵たちは悲鳴を上げ、後退を余儀なくされる。
大矛による接近戦の武力、そして遠距離から軍勢を穿つ神業の弓術。
菫山軍が誇る最強の飛将・布川達也の圧倒的な威容の前に、反菫山連合軍は再び最大の暗雲へと叩き落とされたのだった。




