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王都屋台ストリート。9

 定番カレーを作ろうとしたら、じゃがいもがないのに気がつきました……。

 サツマイモカレー、カボチャカレーとじゃがいもの代わりになりそうなレシピを検索した結果。

 じゃがいも&代用なしカレーにしましたとさ。

 甘すぎるカレーになっちゃう気がしたのですよ。

 


 手の甲を叩く音は祈祷所に響き渡った。

本来であれば聞こえない類いの音だったので周囲の注目を集めたようだ。

 ぼったくりの度合いが酷いので、私以外でも平手打ちをする者は少なくないのだろう。

 屈強な騎士が滑るように近寄ってきた。


「……お客様、提示された金額が適切と思わなかったからといえど、暴力はなりませ! ……アイリーン・フォルス様でいらっしゃいますか?」


「はい。そうです」


「暴力の理由をお聞かせ願えますでしょうか?」


 騎士は私を知っているようだ。

 真っ当な騎士なのかな?


『職務に忠実で、教会というよりサカリアスに忠誠を誓っている者なのです。この祈祷所を守る騎士では唯一真面な思考の持ち主なのです』


『なるほど。だからトラブル対処に迅速で、私の名前を知っているんだね』


「きさ! 貴様! 何故、我が輩の心配をせぬのだ?」


「サカリアス様より、丁重に扱うようにと通達があった御方です。当然一司祭に過ぎぬ貴様とは比べようがないほど、優先させるべき御方ですぞ」


「は、はぁ?」


「貴様にも通達がされているはずだ。アイリーン・フォルス様はサカリアス・ポルティージョの親友であるが故、丁重にもてなすように、と」


 親友!

 大司教の親友とか、自分が偉くなった気がするから恐ろしいよね。

 この世界の教会では大司教がトップで、一神教だったはず。

 その権力は私が想像するより凄まじいだろう。

 この司祭、破門だけですむのかしら?


「この祈祷所、犯罪の温床よね?」


「……祝福は願いを叶いやすくするもの。願いを叶えるものではないため、どんな祝福であっても罪にはならぬとされております」


「あら、そうなの? 確かに今の言葉通りの祝福であれば、罪にはならないわね」


「と、申されますと?」


「トラブル回避の祝福を希望したら、運命に干渉する祝福なので10000ブロンの祈祷料を提示されたわ」


「……ほぅ」


「だから私こう言ったの。完全に回避できるならこれをお渡しできますが、とね。そして金貨を差し出したのよ」


「金貨、でございますか」


 聞き耳を立てているらしい周囲から大きなざわめきが上がる。

 あり得ない金額だよね。

 提示する側も受ける側も尋常ではない。


「ええ。本当に完全回避できるならと思ったの。でも、それはあり得ない。本来であれば受けてはいけない祈祷でしょう?」


「はい。完全な詐欺行為に当たります」


「うん。何より祈祷を任せているサカリアスは勿論、教会の名前をも傷つける。受けてはいけない祝福を受け、さらには絶対にできない祝福をできると言い、高額な祈祷料を受け取ろうとした。どれだけの罪になるのかしら?」


「想像すらできませぬ。この一件はサカリアス様が自ら裁かれる案件となるでしょう」


「ば、馬鹿な! この程度のこと、誰でもやっているぞ? お前だって今まで見逃してきたじゃないか。なぁ? そうやって見過ごすのもまた、犯罪ではないのか?」


 どの口が言うのか!

 肥えた司祭は揉み手をしながら騎士を上目遣いで見詰めている。

 萌えないよね、うん。

 スライムたちもすん顔をしているよ。

 騎士も……すん顔をしていたわ。

 気持ち、よくわかるからね。


「見逃しても、見過ごしてもいないぞ? 全て、サカリアス様に報告を上げている。以前、祈祷を担当していた者で、姿を見なくなった者が何人もいるだろう?」


 肥えた司祭以外の司祭たちも何やら挙動不審になっている。

 消えた司祭たちの末路を悟り、自分たちも同じ道を辿るのだと自覚してしまったのかもしれない。

腰を上げて逃げ出そうとする姿まであった。

 が、勿論逃げられない。

 他の騎士たちも遅ればせながらやってきて、逃げようとした者を捕縛する。


「……ふぅ。祈祷所はしばらく閉鎖ですね」


「そ、それは困る! 早く愛人と一緒になりたいんだ」


 完全に犯罪者です、ありがとうございます! という発言をしていた男性が、足早にこちらへやってきて騎士に詰め寄った。


「物事には順番というものが存在するのですよ、お貴族様? まずは奥方様との離縁が先です。奥方様の暗殺依頼はここを警備する者全員が聞いておりますので、犯罪者になりたくなければ、正式な手順を踏まれた方が御身のためでございますよ」


「だ、だが!」


「……奥様にも愛人さんにもお子さんがいないなら、貴男が不妊なのかもね。検査をお勧めするわ」


 奥様にお子さんがいるなら今更不妊の依頼はおかしいと思ったのよ。

 不妊っていうとどうにも女性に原因があるといわれる風潮だからね。

 こちらの世界ではどうなのかわからないけど、不妊原因は女性って決めつける輩はこの世界にも多い気がする。


「な! な!」


「意外と多いんですよ、男性不妊。女性にだけ検査をさせて、男性が検査をしない人も多いみたいですし」


「ふ、ふざけ!」


『案の定子さんなのです。そこの男は不妊なのです』


 サクラが鑑定したらしい。

 そんな念話があった。

 ってか、案の定子さんなんて! 私の独特な表現に毒されすぎだわ。


『あら、そうなの?』


『しかも完全な種なし。幼い頃男性不妊になる可能性が高い病に罹患して、放置された結果なのです。この世界での男性不妊原因ベスト一位なのです』


『……もしかして、罹患した時点で適切な処置をすれば不妊にはならない、とか?』


『その通りなのです。有名な病にも関わらず、うちの子は大丈夫だろうと適切だけれど面倒な治療をしない者が多いのです』


『幼い頃なら本人じゃどうしようもないよね。御両親とかおつきのメイドや従僕あたりが気をつけないと駄目な感じかぁ』


 少しだけ男性に同情する。

 だが奥様を暗殺しようとしている時点で許せるものでもない。


「あなた、幼い頃の病が原因で種がないみたいよ」


「は、はぁ?」


「もしかしてカサ・セミージャス、でしょうか?」


「ええ。それですね。自覚がないのであれば御両親に聞かれるとよろしいのでは」


「わ、我がカサ・セミージャス、だと? 嘘だ。嘘だああああああ!」


 あれだけ叫ぶってことは地味に自覚があるのかもね。


 男性は頭を掻きむしりながら祈祷所を全速力で走り出ていった。

 様々な意味で彼の未来は明るいものでなくなるだろう。

 この場にいる人全員が沈黙を守るとも限らないしね。


「大変恐縮ですが、この祈祷所は一時封鎖いたします。サカリアス様の指示を仰いだ上で、再開の手配が取られるとは思いますので、大変恐縮ではございますが、後日再び足をお運びくださいませ」


「……この度の不正に対する自分たちへの保障はあるのだろうか?」


 遠くからよく通る声が聞こえた。

 私が話を聞いた人物ではなさそうだ。

 主張も比較的真っ当だろう。

 もし祝福を受けたあとならば、保障はあってもいいかもしれない。

 今この場にいるってことは、これから祝福を受けるか、受けたあとかのどちらかだろうから。


「大変恐縮ですが、既に祝福を受けられた方はおいででしょうか? 挙手願います」


 衝立の中から出て挙手した人、衝立の中で立ち上がって挙手する人がいた。

 合計三人。

 この三人は不幸中の幸いだろう。


『衝立の中の人は双方真っ当だったのです。正しく叶う可能性が高くなる祝福がされているのです。ただ衝立から出てきた二人は同じく、絶対叶うと断言された上で祝福がされているのです。当然絶対叶わないのです』


 うーん。

 ここは教えてあげるべきかな。

 騎士がサカリアスの親友って公にしちゃってるし。


『どちらでもいいのねー。愛の好きにするのねー』


 自分を大事にしてくれる人は、同じように大事にしたいのよね。

 サカリアスは全力だからなぁ。

 私も少しは答えておこうか。


「騎士様。衝立の中の人は正しい祝福を受けています。ですがそちらのお二方は詐欺にあってしまったようです」


「あ、正しく祝福できる司祭もいるのですね?」


「ええ。願いが叶う可能性が高くなる祝福がかけられています。祈祷料も適正なようですね。そちらの司祭が全てその名に恥じない祝福をしているのかまではわかりかねますが、少なくとも今手を挙げた方の祝福はサカリアスも認めるものだと思います」


「あ、ありがとうございます! これからも精進してまいります」


「安心いたしましたわ。今後も教会に足を運ぶ心積もりでございます」


 衝立の中から声が聞こえた。

 二人とも女性のようだ。

 しかも双方真っ当な感性の持ち主とみた。

 そうだよね。

 全員が全員無茶な祝福を求めるわけじゃないんだよ。


「詐欺、ですか。なれば祈祷料の返金は叶いましょうか」


「当然叶うはずですね。慰謝料なども請求できると思いますよ」


 教会相手に慰謝料は難しいかもしれない。

 ただ私がこの場にいるし、教会としても反省はみせておきたいだろう。

 被害者が二人だけなら、多くを望まなければ慰謝料も支払われそうだ。


「慰謝料! 俺は慰謝料も請求します。い、いくら請求できるかな?」


 こちらは平民かな。

 質問をした人は貴族だろう。

 まぁ、頑張ってほしい。


「ねぇ、いくら請求できると思います?」


「私に聞かれても困ります」


「えぇ? 大司教様の親友さんなんでしょう。それぐらいわかりますよね」


「わかりません。私は教会の者ではありませんから」


「親友の癖にわからないの?」


「貴男は友人の仕事の全てを御存じなのですか?」


「無茶を言わないでよ!」


「そっくりそのままお返しします」


 まだ何かを言い募ろうとする男性の前に、騎士が立つ。


「祈祷料の返還について、また、慰謝料についての交渉は、このあと場を設ける。この方は無関係だ。絡むのはやめてもらおう。大体この方が助言しなければ、君は詐欺に遭ったと証明できなかったかもしれない。それなのにこの方に感謝もせず、不愉快な思いをさせるとは、どれだけ不出来な人間なのだ?」


「不出来って!」


「ここまで言ってもまだ謝罪の言葉がでないのだな。フォルス様。今回の件については後日報告いたしますので……」


「うん。よろしくお願いします。あとはお任せしますね」


「はい。御助力ありがとうございました」


 騎士が深々と頭を下げる。

 貴族らしき人も頭を下げてくれた。

 平民らしき彼はブチブチと文句を言い、私を睨みつけてくる。


 あの調子じゃ、祈祷料の返還も難しいかもね?


 私は二人に軽い会釈をしてその場を去った。

 

「あの平民、貴族を敵に回したのねー」


「あ、やっぱりそうなるんだ」


 貴族は面子を大切にするからね。

 自分を助けてくれた私に対して、鬱陶しいほど絡んできた彼を敵認定するのは必然なのだ。


「御愁傷様」


 私はそれだけ呟いて、この後の予定をスライムたちと相談し始めた。




 

喜多愛笑 キタアイ


 状態 苛々MAX継続中。new!! 


 料理人 LV 4


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     口止魔法 LV10


     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  


 ミスドの新作ドーナツがサクサクぽふんだそうです。

 個人的にもっちりドーナツが好きなのですが、サクサクはさて置きぽふんが気になります。


 次回は、王都屋台ストリート。10の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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