バスレクで栄生が大活躍!?
「みなさん、はじめまして。北川瑞穂といいます」
バスガイドさんが、マイクを使って、自己紹介をする。
「瑞穂ってよくある名前だけど、私の名前の由来は、お父さんが、北海道の瑞穂湖の近くに住んでいたので、つけたそうです」
バスガイドさんの、自己紹介が終わり、バスは段々ペースを上げてくる。
初めは、普通に道路を走っていたけれども、そのうち東北自動車道にバスが差し掛かった。
「これからは、東北自動車道という高速に入ります。高速の間、約一時間半、みんなが考えてくれたね、レクレーションをしてください」
レクレーション──宿舎でのレクレーションと違く、バスの中で行う「バスレク」のことだ。
宿舎でのレクは学年全体だが、バスレクはクラスオリジナルである。
栄生はさっとマイクを受け取る。
バスのマイクは、長方形だった。
説明を忘れていたが、栄生はバスレクの企画のメンバーにも参加していた。
栄生が選んだのは「クイズ担当」。
日光にちなんだクイズを考え、高速をバスが走っているときに、出題して、みんなを楽しませるのだ。
「では、卯月さん、おねがいします」
司会に栄生は指され、書いてきたクイズ帳をパラパラめくる。
一番基本的なのを読み上げた。
「第一問。日光は東京から何kmですか」
『……──』
バスの中を沈黙が支配する。
「えーっと…誰か」
「はーい」
「じゃあ、○○さん」
「100km!」
元気よく答えたクラスメイトに違いますっと栄生は即答。
たぶん、100というキリのいい数字でテキトーに言ったのだろう。
「はい」
「○○さん」
「200km」
「違います」
「50」
「そんな少なくありません」
「300」
「それより少ないです」
……とうように、何人か当てて、正解の150kmを答えたものがいた。
栄生は正解者に景品を渡すため、サッとメモに名前をメモる。
しかし、クイズに答えてくれる人はあまりいない。
「第二問。東照宮の猿の絵は何枚あるか」
「……んと8枚?」
「正解です」
次の質問は一人しか手を挙げてくれなかったが、見事正解。
「題三問。華厳の滝の高さは」
「……──」
無・反・応。
「……なら強制的にあてます」
キラリと栄生の目が光った。
手を挙げないならば、強制的に──。
「では、島村さん、おねがいします」
「(ギクッ)……分かった」
栄生の指したのは晃。
晃は、退屈そうにボソリとつぶやく。
「……97m」
「正解です」
驚きに満ちた目で晃を見る。
しかし、それと同時に……。
(分かるなら、手を挙げろよ!)
と栄生は心の中で突っ込んだ。
もちろん、栄生の心の中なんて晃は知る由もない。
こうして、のどかなクイズタイムは過ぎていった。
「では、羽生パーキングエリアで休憩を入ります」
バスが減速し、高速道路の途中にある羽生パーキングエリアに、到着した。
ここで、休憩をした後は引き続きバスレクのビンゴをやって、日光に着く予定だ。
ルート説明(1日目)
7:20 出発式
7:30 学校出発
9:00 羽生PA休憩 ⇦
10:30 華厳の滝見学
11:15 華厳の滝発
11:30 昼食(中禅寺湖)
12:05 中禅寺湖発
12:30 湯ノ湖着
ハイキング開始
14:00 湯滝着
14:10 湯滝発
14:30 竜頭の滝着
14:45 竜頭の滝発
15:25 宿舎到着
(以下、宿舎でのことは複雑なので略します)