名ばかり貴族の憂鬱
「成る程、王家の醜聞を隠す意味での結婚だったのだし、親を黙らせてしまえば後は何も言えないやつに嫁がせればいい…ということか、ついでに兄上の俺への嫌がらせも含まれてるんだろうなぁ…」
送られてきた結婚の決定の手紙を読みため息をはく、グリーフレイ公爵領、先代王の獲得した最後の領地で、開拓もままならず放置されている所に、扱いに困る恥かきっ子の俺を宛がったという実情の領地だ。経営はギリギリ黒字、俺もそれ以上をやってしまうと都合が悪いので何もやってない。諸悪の根元は先代王だ、彼は才能を愛していた。王妃として理想的な正妃を初め様々な才能ある女性を囲った。まぁ、その王妃として理想的な正妃様は、母親としては微妙だった…というより、父があんまりにもあんまりだったと言うしかないのだろうけど。案の定「自分より優秀な弟たち」を見て太子サマがどう思うか等、想像に難くなかった訳だ。現在、ことあるごとに王弟たちの排除が進められている。先代王の存命中にそれが始まったため、下の方の子どもたちは先代王に最後の方に獲得した領地を割り振られて逃がされた訳だ、俺はその一人。南国のここに配置されたわけだ。一応、年金はちゃんと出てるし翻意あり、とは思われてないらしい。こうやって細々と生きていければ良いのに…、近隣の貴族の三女だの、どこぞの商会の娘だのとっとともらっておけばよかったか?
「ハイデルベルグ侯爵令嬢…、あのような子が…。精々、よい生活をさせてやらねば」
ともすれば弟のような、5歳差の甥っ子の婚約者の顔を思い出しながらそう呟く。幸い、我が領地は心を休めるにはちょうどよい場所だ。心安らかに生きてもらえればそれで良いのだ。




