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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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88話 駐屯地経営の結果 -やり過ぎたみたいですね-

報告するのは疲れます。

「では、駐屯地の人口が1,000人を超えたと?予定では800人だったよな?」


「そうなんだよね。募集を締め切った後でも直接やってくる人達も居てさ。さすがに全てを捨ててまで来てくれた人に対して「募集は終わったから帰れ!」って言う事が出来なかったんだよ」


 さらなる区画拡張の許可をもらう為にドリュグルの街を訪れていた亮二はバツが悪そうに肩をすくめると、事情をユーハン伯に説明するのだった。ユーハン伯は手渡された現実離れした数字が並んでいる報告書と、資金調達はどうするのか疑問に思う拡張計画書を見ながら亮二に質問を行った。


「それにしても現実離れした夢のような報告書だな。人口は1,325名で215世帯で構成比は鉱山夫が3割、鍛冶師が1割、商人が1割で残る家族が5割か。年配者や子供などで仕事が無い人も出てくるから、家族で一から始めるとなると家族の稼ぎ頭が高給取りじゃないと生活が苦しいんじゃないか?その辺りはどうなんだ?」


「その辺に関しては手を打ってるから大丈夫。手に職を持っている人は今までやってた仕事と同じ事をしてもらってる。職を持っていない人に関しては街の掃除などの美化活動や鉱山での運搬補助、街道の整備など、こっちで用意した仕事をやってもらってる。もちろん給金は払っているよ。子供達に関しては無料で学校を設立したから、そこで勉強や技術を学んでもらっているし給食も支給している。意外とこれが好評なんだよね。それと先生役としてはお年寄りに協力してやってもらってる。あっ!ちゃんとお年寄りにも給金は支払っているよ。結構要らないって言う人も多いんだけどね。それと、移住してからの3ヶ月間は住民税を徴収しないようにしてるよ」


 報告書にも書かれているが、改めて亮二の口から説明を聞いたユーハン伯は開いた口が塞がらない状態になっていた。ユーハン伯の常識では、3ヶ月も住民税を免税するなんて事はあり得ない話で、また職を持っていない人のために仕事を用意したり、子供のために無料で学校を開いたり給食を支給したりはしないからである。


 さらにユーハン伯が独自に収集した情報では、どんな場所でも出来るスラム街が駐屯地にはないのである。亮二にスラム街が無い理由を聞くと、基本的に駐屯地にやって来た者は行政府を兼ねている亮二の屋敷で”家族構成””前に住んでいた場所””職業””賞罰”を書かされ、その内容に見合った家を一軒支給される。そして職業によって仕事が割り振られるとの事だった。


 例えば鍛冶師の場合は、能力さえあれば家だけで無く工房も追加で支給される。そしてギルドに加入する事で鉱山夫の道具修理や作成などの仕事が割り振られ、支払いもギルドから行われるので踏み倒される心配が無い。また、技術力がある職人に関しては亮二が考案した道具を作るように指示が出され、それは高額で引き取られる。自らのアイデアを持っている者に関しては亮二にプレゼンをして気に入ってもらえれば資金提供もされる。


「3ヶ月も住民税を取らなかったり無料で学校を作ったりすると負担が大きくなるが大丈夫なのか?税収を高くするのはあまりお勧めは出来ないぞ。ドリュグルの街の税の取り立て方法はアウレリオから聞いているよな?」


「それについてはアウレリオから聞いてるよ。ドリュグルの街って住民税が中心なんだよね。こっちは住民税は収入に合わせて累進課税にしてて、もし収入源に当たる人が病気や怪我になったら猶予処置を設けて回復してから分割で納めるようにしてもらってるよ。それに贅沢品に関しては購入税も徴収してる」


「贅沢品の購入税はいい考えだな。だが、累進課税や病気による猶予処置なんてものを打ち出したら不正する人間が後を絶たないんじゃないか?」


 ユーハン伯の問い掛けに「何人かいたね」と苦笑いしながら対応について説明を始めた。


「累進課税については小さい所は誤魔化しようの無い金だし、大きい所は誤魔化そうにもアウレリオの目を欺けるわけないじゃん。病気による猶予処置を悪用する人間は俺が出向いて調書を取ってるよ」


「リョージを騙せる奴が出てきたらどうするんだ?」


「そっちも大丈夫。俺はその人間がどんな状態かは見れば分かる能力を持っているから。それっぽい魔法を唱えて『元気ですよね。嘘つきましたね?分かってるんですよ』って笑顔で少しずつ近付いて言えばみんな怯えた…じゃなくて気持ちを入れ直して税金を払ってくれるよ」


 亮二への質問に対して返ってくる回答を聞きながら「それはリョージにしかできない芸当だな」と疲れた声で呟くのだった。


 ◇□◇□◇□


「それで、領地経営はどのくらいで軌道に乗りそうなんだ?いつまで経っても終わりが見えない感じがするんだが」


「そうは言っても一区切り付けないとユーハン伯と約束していた王立魔術学院に入学するタイミングを逃してしまうよね」


 亮二が学院に行く事を忘れて無かった事にホッとしながらユーハン伯は今後の日程を伝えた。


「3ヶ月後には入学式が有るから、それまでに準備を調えといて欲しい」


「了解、取り敢えず駐屯地は俺が居なくても回るようにしとくよ。アウレリオに全部任せちゃっていいんだよね?」


 亮二の問い掛けにユーハン伯は「アウレリオが倒れないように文官を何名か用意しとくよ」と答えるのだった。

駐屯地経営はもうそろそろ一区切りだと思うのです。

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