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二巻出版記念SS どこでもドタバタしております

2017年04月10日(月)に【異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている(2)】が発売されました!

それを記念してのSSとなっております。


そして、一巻記念SSの時も書いておりますが、この話は全てフィクション(フィクション?)であり、当然の事ながら本編には影響ありません!

多少どころではないメタ発言は気にせず、軽い感じで流してもらえると幸いです。


内容は、牛人を討伐して騎士になってから、王都に出発する箇所までになります。

「続編が出版された!」


「ど、どうしたの……。じゃなかった。どうされました? 続編?」


 辺境伯であるユーハンから下賜された屋敷の執務室で突然叫びだした亮二に、紅茶の用意をしていたシーヴがビクッと身体を震わせながら質問してきた。


「きっと、またリョージ様がなにかを思い付かれたのですよ。丁度良いですね。皆で休憩にしましょうか」


「ねえ。最近、メルタってリョージ様の思い付きを冷静に対処してない?」


 書類作成を手伝っていたメルタがペンを静かに置いて、軽く伸びをしながらシーヴに人数分の紅茶を用意するように伝えた。その落ち着いた様子をカレナリエンに指摘されたメルタは、軽く笑いながら答えた。


「だって、これから先も間違いなく色々とあるはずよ。これくらいの事で驚いていたら、身体が持たないわ。それで、リョージ様。先ほどの『続編』についての説明をして貰ってもよろしいですか?」


「さすがメルタさん! 出来る大人の女性だよね! そうそう。続刊ってのはこれだよ! 見て! 大丈夫! 全部で五冊あるから、一人一冊プレゼントするよ」


 嬉しそうに亮二が手渡してきたのを、カレナリエンとメルタにシーヴが受け取った。


「これは、半年ほど前に見せて貰ったリョージ様の物語ですか?」「これってエレナ姫も描かれていますよ?」「また本の隅っこにイオルス神が居られますね」


 それぞれの感想を聞きながら、亮二は嬉しそうに前のめりになりながら説明を始める。


「これは、前と同じ国宝級の絵師さんが描いてくれているよ! 中にも色々と描いてくれているから見てよ!」


「リョージ様が薦められるなら。これは……エレナ姫ですね。この絵を描かれた方はどこで観察をされて居るのでしょうね? えっ! な、な、な、なんで! なんであの時の事が描かれているのですか!」


「前は表紙に居たけど、今回は中に居る! あの時のメルタさんは本当に……。ひぃ! な、なんでもないです!」


 表紙をめくった一枚目のカラフルなイラストにメルタが述べながら、次のイラスト見て耳まで真っ赤になった。まさか、自分が亮二にプロポーズされている場所を描かれていると思っていなかったのである。

 さらには、シーヴが何気なくページをめくって発見したイラストを見てなにか言おうとしたが、メルタの視線に引き攣った笑顔を浮かべると首を大きく振るのだった。


 ◇□◇□◇□


「リョージ様! 私とリョージ様との愛の物語が書かれている本があると聞いたのですが!」


「エレナ! 貴方だけじゃないわよ! 私達の物語が書かれているのよ!」


 翌日、たまたま(・・・・)ドリュグルの街に来ていたエレナが亮二の屋敷を訪れていた。カレナリエンのツッコミに亮二は苦笑を浮かべながら、ストレージから本を取り出すとエレナに手渡した。


「わぁ! リョージ様と一緒に描かれているのですね! 白雪もいます! それにメイド服も。やっぱり、私もメイドとして雇って頂ければチャンスが……」


「だから駄目だと言ってるでしょう! 俺達と王家の全面戦争になりますよ!」


「おぉ。マルコじゃん。どうしたんだよ?」


「護衛に決まってるだろ! 突然、エレナ姫が『神の啓示がありました!』とドリュグルの街に再訪問されたんだよ! なんでお前さんが絡むとトラブルしか出てこないんだよ!」


 エレナの後から仏頂面で入ってきたマルコに声を掛けると、心底迷惑そうに亮二に向いてお前が犯人だと言わんばかりに言い放った。突然の叫び声に亮二がビックリしたような顔で問い掛けた。


「トラブルだけって酷い! それになんで怒ってるんだよ? この本だったら、マルコも載ってるから安心して良いよ!」


「ん? おい、これってエレナ姫がメイド服を着た時の話だよな? 極秘事項にして箝口令まで発してるのに、なんでイラストになってるんだよ! おい! この本はどこで売ってる! どれだけ発売されている! これだけ高価な紙に、精巧なイラストまである本だから金貨五枚以上はするだろうからそれほど印刷はされてないと思うが……」


 最後の方は小さな声になっていたが、亮二の耳には届いたようで嬉しそうにしながら追加の説明を始めた!


「大丈夫だぞ! 俺の国で大量に発売されている! 金額も銅貨三〇枚くらいで買えるぞ! 痛ぃ! な、なに? なにを手に持ってる? ハリセン? こっちにもハリセンがあるの?」


「ん? なんだこれは? 物凄く手になじむ武器だな。それに殺傷力はないのか。だが、なんだこれは?」


 亮二が頭を押さえてハリセンを唖然としてみていた。同じくマルコも驚愕の表情で手に持っているハリセンを眺めていた。周りの者も二人の沈黙に引きづられるように黙っていたが、それを破るかのような明るい声が聞こえてきた。


「話は聞かせてもらった! 一度言ってみたかった台詞なんですよね♪ マルコよ! 汝に神具であるミスリルのハリセンを授けよう! お久しぶりです。みなさん!」


「「「イオルス神!」」」


「ひょっとしてハリセンはイオルスが?」


 扉から入ってきたイオルスに一同が驚愕の声を、亮二が冷静にハリセンの事を確認する。一同の反応に気をよくしたイオルスは嬉しそうに頷いた。


「そうなんですよ! ツッコミと言えばハリセン! ハリセンと言えばマルコさん! これは亮二さんの国では当たり前ですよね! 最近、ハリセンの作り方を勉強してまして、この世界でも普及を……。痛ぃ! な、なんで叩くんですか! マルコさん酷いです!」


「よし。ちょっとこっちに来い。イオルス神であろうと話し合いが必要だ。この武器は手になじむが、このまま野放しにしたら駄目な気がする」


 マルコの目が冷徹な光りになった事に、イオルスが後ずさりながら逃げようとしたが、マルコに襟首を掴まれると引きづられて別の部屋に連れて行かれるのだった。


「また、このパターン! 助けて亮二さん!」


「諦めろ。マルコがその目をしている時は駄目だ」 

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