356話 メルタとソフィアとスイーツと紅茶 -色々と作りますね-
出発の時間になりました。
フェリルから忠誠を受け取った亮二は、とりあえずは魔狼の森で待機するように伝えた。少し寂しそうにしながらも、なにか思案げな顔になりながらライラとの別れの済ませたフェリルは、他の婚約者達と一緒に転移魔法陣で領都に戻った。
「あれ? 次はメルタだよね?」
「はい。そうなんですが、二人でも大丈夫ですか?」
「す、すいません……」
転移魔法陣で領都に戻る婚約者達を見送った亮二は、婚約者が二人残って並んでいる状態に首を傾げながら問い掛けた。亮二の言葉に恐縮している様子のソフィアを軽く支えるようにしてメルタが答える。
「ソフィアがリョージ様と二人で旅をするのは、まだ恥ずかしいとの事です。ですので私と一緒でもよろしいでしょうか? ソフィアはすいーつを使って、私は紅茶で精一杯おもてなししますので」
「は、はい! 一生懸命作ったすいーつでリョージ様に喜んで貰いますのでお願いします」
悠然と微笑みながら話しているメルタと、緊張しながらも両手を握り拳にした状態で、気合いを入れているソフィアを見ながら亮二は頷きながら了承する。
「おう。じゃあ、二人に甘えてユックリさせて貰おうかな」
「もちりょんでしゅ! き、期待してて下さいね!」
「はい。任せて下さい」
緊張しすぎてお約束のように噛んだ後に全身が真っ赤になっているソフィアに、メルタは苦笑を浮かべながらスイーツの準備をするように指示をしつつ、自分は紅茶を淹れ始めるのだった。
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「量産体制が確立したちょこれいとをお湯で温めて溶けた状態にしました。そこに好きな果物をつけ込んで出来上がりです。その他にもちょこれいとを飲み物にしてみました。それとくっきーにも固めのちょこれいとを挟んでます」
「ほう。チョコレートで果物をコーティングしたのか。良い発想だな。高級店向きにチョコレートフォンデュにしてもいいかもな。それとホットチョコレートは牛乳をもう少し足した方がいい。このままだと飲みづらい。それとクッキーにチョコレートを挟むのはいいな。これは間違いなく売れるな」
亮二はチョココーティングされた果物などを満喫しながら、ホットチョコレートの改善点などをソフィアに伝えていた。必死にメモを取っているソフィアに、ストレージに保存していた牛乳やチョコレートを取り出して即席で作るとソフィアに手渡す。
「ほら。これくらいがちょうどじゃないか?」
「そうですね。これくらいの濃さにしたほうが飲みやすいですね。販売する時は三種類くらいで濃さを選べるといいかもですね。一番濃いのは果物を一緒にして漬けながら食べるとか?」
亮二とソフィアがスイーツで盛り上がっていると、横からメルタも紅茶を出しながら話に参加してきた。
「リョージ様。お口直しに紅茶はいかがですか? 色々な産地の茶葉を取り寄せて混ぜてみたんですが?」
「おぉ。いい感じじゃん。俺的にはこっちの風味が強い方がいいかな。これも販売予定なの?」
机の上に置かれた数種類の紅茶を飲み比べながら尋ねるとメルタは頷きながら答える。
「ええ。王都と領都に紅茶とすいーつを楽しめるお店を作ろうと思って。リョージ様にもお店を作る時に協力して貰っていいですか?」
「当然! 俺が場所も建物も内装もメニューも従業員教育もプロデュースするよ! やっぱり高級志向と庶民タイプの店は欲しいな。高級店の従業員はメイド風にしようか!」
亮二は新しくオープンさせる予定の喫茶店のイメージを、二人に向けて楽しそうに話すのだった。
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「宿場町に着いたようですね」
「えっ? もう到着するの? せっかくいい感じでスイーツ開発が出来てたんだけどな。あっ! そうだ。せっかくだから作ったスイーツを住民達に振る舞おうか!」
スイーツを作っている最中にメルタから到着の報告を聞いた亮二が馬車から顔を出すと、ドリュグルの英雄に住民から大歓声が上がった。嬉しそうな顔と満面の笑みで振ってくる住民達に手を振り返し大声で叫ぶ。
「出迎えご苦労! 今日はここに宿泊するからパーティーの準備を始めてくれ! もちろん費用は俺持ちだ! 日頃の疲れを癒やしてくれ!」
「やった! 噂は本当だったんだ!」「俺は前の街でも参加してたんだが大丈夫なのか?」「そんな細かい事を気にするリョージ様じゃないだろ!」「ここでリョージ様に料理の腕を認めて貰って、領都で店を開くんだ!」
亮二の声に群衆から大歓声が上がった。店を開きたいと話していた男性の声をスキル聞き耳で拾った亮二は、護衛の兵士やメルタ、ソフィアにパーティーの準備を手伝うように指示すると小さく呟く。
「いる?」
「はっ! ここに」
誰もいなかった場所に黒装束の男性が跪きながら現れた。さすがに慣れた亮二は軽く頷くと、男性に対して指示を始める。
「あの男性の屋台場所確認と、可能なら家族構成なんかも調べてくれる?」
「御意!」
黒装束の男性が短く答えつつ、煙のように消えたのを見ながら自身も料理の準備とスイーツを始めるのだった。パーティーが始まる直前に黒装束の男性が収集した情報を元に亮二が男性を確保し、作ったうどんを試食させ作り方を伝授した。
その後、宿場町での成功体験を元に領都に店を構えた男性は、亮二に指導を受けながら次々と支店を出し、セーフィリア全土にうどん文化を広げていくのだった。
うどん文化は根付かせないとね!




