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350話 宴会の翌日も騒動 -今日も楽しみますね-

まどろみの中から脱出すると少し騒がしいことに気付きます。

「……ちょっと! なんで、リョージ様と一緒に寝てるのよ!」「それは淑女協定違反じゃないですか?」「ずるい」「け、け、結きょんもしていないのに駄目だと思いましゅ!」「ソフィア噛みすぎ。だけど理解はできる」「率先して協定を破るのは駄目ですよね? エレナ姫」


 まどろみの中、周りの騒音に徐々に意識が鮮明になりつつある亮二が大きく伸びをしようとすると、柔らかい物が手に当たった。


「ん? なんだこれ?」


「んっ! リョ、リョージ様。朝から大胆です。そんなところを鷲掴みにするなんて」


 今まで感じたことのない柔らかい感触を確かめるようと何度も手を動かしていた亮二に、悶えるような反応と艶やかな声が耳に届いた。急激に意識がはっきりし飛び起きた亮二の目に入ってきたのは、パジャマ姿で頬を染めながら嬉しそうにしているエレナだった。


「な、な、な、なんで?」


「えっと、リョージ様が間違ってお酒を飲んだようで、途中でアイテムボックスから食材やすいーつをだしたり、魔道具を使って『俺の手品を見ろ!』と叫びだしたので確保しました」


 口をパクパクとさせている亮二に、エレナは髪を整えながら昨日の話を伝えてきた。ストレージからスイーツを出した辺りまでは心当たりのある亮二は、額に手を当ててため息を吐くとメルタが用意した水を飲んで気分を落ち着けた。


「で、この状態は?」


「はい! 途中で私の腕の中で眠ったリョージ様が余りにも可愛くて、お姫様だっこしながら運びました! そして寝顔を見ていたら一緒に寝たくなった次第です。憧れだったんですよね。お姫様だっこ」


「ちょっと! 運んでくれたのは感謝するけど、お姫様だっこ? 違う! 俺の知ってるお姫様だっこと違う!」


 両頬に手を当ててクネクネとしながら昨日の事を思い出しているエレナに、亮二はベットで立ち上がるとお姫様だっこの定義について力説を始めた。亮二のテンションが徐々に上り始め、男のロマンを壊さないで欲しいと懇願し始めた辺りでベットから飛び降りた。


「だから! お姫様だっこは男がこうやってするんだよ! わかる? これが完成されたお姫様抱っこなんだよ!」


「はわわわ。リョージ様! 怖いです! 近いです! 恥ずかしいです!」


 亮二がテンション高いままソフィアをお姫様だっこするとドヤ顔で説明を始めた。急に抱き上げられたソフィアは、その勢いに悲鳴を上げながら亮二の首に抱きつく。亮二の顔が近くなった事で、パニックになっているソフィアを一同は羨ましそうに眺めていた。


「分かった? お姫様だっこについて!」


「「「分かりませんので、実際にやってください」」」


 亮二がソフィアを抱えながらドヤ顔で一同を眺めると、ソフィアを除いた婚約者達から返事があった。行列になっている婚約者達を呆然とした表情で見ていた亮二だったが、理解できないとの台詞に呆れながらも全員に対してお姫様だっこをするのだった。


 ◇□◇□◇□


「あれ? なんでこんなテンションになってるんだっけ?」


 婚約者全員に対してお姫様だっこを三周した亮二が我に返った。宿屋を出て視察に回る時間が差し迫っており、一同は慌ただしく準備を始める。


「いい。エレナ。もう抜け駆けはなしだからね」


「分かってるわよ。私も少し酔ってたから反省してるわよ。後で全員に寝ているときのリョージ様の寝言とか、いい匂いがするとかの情報は提供するから」


 エレナの言葉に一同は生唾を飲み込みながら頷いていた。自分から少し離れたところで円陣になっている婚約者を眺めながら亮二が声をかける。


「おぉい! 早く視察に行くよ。案内する人が待ってるんじゃないの?」


 準備の整った一同が宿屋から出ると町長以外にも数名が待機しており、エルナンの話を感心しながら聞いていた。亮二達に気付かずに熱心に話を聞いている様子にスキル聞き耳を使うと、弾んだ声で熱く語るエルナンの声が聞こえてきた。


「まずは入門講座としては、ドリュグルの英雄爆誕編までになります。それにしても早めに集まってくださっていて良かった。約束の時間丁度だったら足りないところでしたよ。次の初級講座を希望される際はリョージ様親衛隊の誰でも良いので声を掛けてください。あくまでも内密にお願いします」


「わかりました! 本当にためになる話をありがとございます。なるほど。奥が深いですな。『英雄の一生を共に歩める幸運』とは名言ですな。それで初級編を受講するには費用はいかほ……。リョ、リョージ様! 失礼しました。エルナン様との話で盛り上がってしまいました。準備はお済みでしょうか?」


 亮二達の存在に気付いた町長達は焦ったように亮二に話し掛けてきた。ジト目で近付いて来る主に、エルナンはキラキラした顔で跪きながら胸を張っていた。


「おい! エルナン! 親衛隊って俺の親衛隊だよな?」


「当然です! リョージ様の親衛隊以外になにがあるって言うんですか!」


 思わず問い掛けた事に対して、物凄い剣幕で反論してきたエルナンに気圧された亮二は軽く謝りながらも腑に落ちない表情になるが、軽く首を降って気を取り直しながら語りかけた。


「お、おう。すまなかった。じゃあ、視察を始めようか」


 亮二の言葉に町長を始めとする一同は普段の様子や困っている事などを伝え、それに対して改善方法や物資の支給をする事を亮二が約束して無事に視察は終了するのだった。

あれ? 視察が一瞬で終わった?

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