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292話 初戦が終わって -少し休憩が入りますね-

まだ、テンションが戻りません。

「とりあえず、亡くなった5人はこれに入れて連れて帰ってあげてよ。時間も経過しないから家族の元に連れて帰ってあげられるから」


「これはアイテムボックスですか? 時間が経過しない? ち、ちなみに何名くらいまで収納出来ますか?」


 亮二が無くなって並べられている5人に近付くと、傍にいたアマンドゥスの副官に話しかけながらアイテムボックスを手渡した。今回の戦死者5名が収納出来ると伝えてきた亮二に驚きの表情を浮かべながら、収納人数を聞いてきた副官に亮二は10名くらいである事を伝えた。


「そ、そんなに? それでしたら食料を入れて運んだ方が…… 「そうだね。間違いなく、そっちの方がアイテムボックスの運用としては正しいと思う。俺の自己満足だってのは分かってるんだよ。でも、頼むから今回は5名をハーロルト公爵領に連れて帰って家族に渡してあげて欲しい」」


 亮二の沈痛な言葉に副官は深く頷くと、5名を収納して「必ず、家族の元に連れて帰ります」と力強く請け負うのだった。


 ◇□◇□◇□


「有難うございます。ですが、これ以上は気にされないで欲しい。あいつらもリョージ伯爵が落ち込んでいると聞いたら悲しむでしょうしな。ドリュグルの英雄には笑顔で我らが呆れるような事をしてもらわないと」


「ああ。ありがとう。アマンドゥス騎士団長。もう大丈夫だ」


 アマンドゥスは今まで見た事もない所作で死者を弔っている亮二に近付くと、これ以上気にしないようにと伝えてきた。伝説に出てくる英雄と変わらないような強さを誇っていても、まだ成人前の子供である事を再認識したアマンドゥスは豪快に笑いながら、暗い表情になっている亮二の頭を撫でまわした。

 されるがままだった亮二だったが、しばらくすると暗い表情はなりを潜め、いつもの表情に戻ると少し顔を赤らめながらアマンドゥスに感謝を述べて、大剣のメンテナンスをする為に再度剣を借りたいと伝えた。


「ねえ。さっき、大剣に聞いたんだけどさ。ミスリルを練り込み過ぎたから、軽くなりすぎて使いづらかったんだって? そういった事は早く言ってくれないと。すぐに修復するから1日くらい貸してもらうよ」


「分かりました。あまり高級な物にして頂いたので少し遠慮してしましてな。では、せっかくなので重心をもう少し上部に持ってきてもらえますかな。遠心力を利用する戦い方をしているので、今のままだと大きく振り回せなくて戦い辛くてな」


 その他にもアマンドゥスは何点か注文を付けて大剣を手渡すと、亮二は嬉しそうに頷いてが大剣を受け取った。すると剣からも改善要望が上がってきた。


『リョージ様。その他にも私からの要望も受け入れて頂けませんでしょうか?少し機能を上げて欲しいのです』


「おっ? さっきの戦いでなにかつかんだ感じ? 出来る範囲でだったらいいよ」


 亮二の言葉に大剣はアマンドゥスと亮二の戦いのデータを元に分析した内容を伝えて、改造を依頼するのだった。


 ◇□◇□◇□


「ん? リョージはどこ行った?」


「おぉ! マルコ殿か。リョージ殿でしたらあちらで作業をされてますな」


 一旦、アンデルスの元に戻って状況を説明したマルコが亮二達が留まっている場所に戻ってくると、亮二の姿は見えずに周りを警戒しながらも食事をしているアマンドゥス達が居た。アマンドゥスの指差した方に視線を向けたマルコに、鍋の周りに居た騎士の一人が椀にスープを注いで手渡してきた。

 強行軍で往復をしていたマルコは碗を受け取るとスープを飲んで、その温かさと味の濃さに感動のため息を吐いた。マルコと一緒に強行軍をした騎士隊の5名も同じようにスープを飲んで感動しており、多くの者はおかわりをしていた。


「それにしても美味いな。これはリョージが準備したのか? なんて料理なんだ?」


「かれーって料理で、伯爵の故郷の料理だそうですよ。少し辛めですが野菜も肉も入っていて、スープなのにスプーンがないと飲みにくくて、一気に飲んでしまわないように工夫されてるんですもんね」


 美味しそうにスプーンでカレーを飲んでいる騎士と舌鼓を打ちながら食事を楽しんでいると、最初にアマンドゥスが指差した小屋から亮二が飛び出してきた。


「おい! マルコ! 早く小屋に入ってこいよ! 大剣を持ったままでドヤ顔して待ち続けてた俺がバカみたいじゃないか!」


「おぉ。それは悪かったな。でも、このかれーと言っているスープが美味くてな。このかれーって飲み物を何杯もおかわりをして飲んでしまったぞ」


 怒り顔で小屋から飛び出してきた亮二に対して、マルコが料理の感想を述べると怒り心頭だった亮二の表情が呆然としたようになった。あまりにも急激に変わった表情にマルコが心配になって話しかけようとすると、物凄い勢いで亮二が話しかけてきた。


「なあ! マルコ! もう一回! もう一回! さっきの台詞を言ってくれないか?」


「あ、ああ。かれーと言ってるスープは美味かっ…… 「そこじゃない! その後!」」


 亮二の剣幕にマルコがカレーの感想を再度述べようとしたが、亮二は苛立だしげに遮ってきた。


「な、なんだよ。かれーって飲み物が美味く…… 「それ! もう一回!」 おぉ、かれーって飲み物が美味かったぞ。これでいいのか?」


 マルコの台詞に亮二は感無量な表情でマルコの肩を叩くと、親指を立てて「やっぱり、カレーは飲み物だよな! マルコ、グッジョブ!」と最高の笑顔で伝えてくるのだった。

アマンドゥスに救われて、マルコのお陰で元気になった!

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