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184話 リカルドとの一コマ -初めて騎士を任命しますね-

リカルドは頑張ってくれてるので助かります。

「じゃあ、今日はこのくらいにしておこうか。報告ありがとう。これからも頑張ってね。期待してるよ。リカルド」


「もちろん!“サンドストレム王国の改革者”と言われているリョージ伯爵の名声に恥じないように頑張りますよ!」


「お、おう!改革者なんて、そんな凄い事はしてないけどな。で、俺から、いつも頑張ってくれているリカルドに褒美があるんだよ。まずは、ばばん!秘薬1個!どどん!勲章!ずばん!マント!だだん!屋敷の鍵!もういっちょ!金貨10枚!を大盤振る舞いな勢いでリカルドにプレゼントだ!」


「えっ?え!えぇ!な、なんなんですか!机の上に色々並べたけど屋敷の鍵?秘薬?勲章にマント?って!勲章にマントって!」


 リカルドが勲章とマントを見て驚愕した表情で亮二を見ると緊張で震えだした。そんな様子をカレナリエンと亮二は微笑ましそうに見ながら立ち上がると、リカルドに向かって厳かに告げた。


「リカルド。君をリョージ=ウチノ伯爵の名において我が騎士に命じる。俸禄は金貨1枚と銀貨8枚。与える屋敷は王都の郊外だが、広さは家族5人が住んでも大丈夫な大きさにしてある。その屋敷でメイドを一人雇って欲しい。採用はリカルドに任せる。賃金はリカルドが負担してくれ。参考までに賃金は銀貨3枚くらいかな?あっ!そうそう、ここに有る秘薬は去年ぐらいに調子を悪くした人なら一瞬で元気な時に戻るよ」


「え?秘薬って、前にリョージ様が“試練の洞窟”で使ったやつだろ?話を聞かせてくれた時に『秘薬の残りが大分と少ないんだよね』って言ってたじゃないか!」


「あぁ、メイドは家事を中心にするから経験のある人がいいぞ。もし、リカルドの知っている経験のある人で元気が無いようなら、偶然(・・)に褒美で渡した秘薬を飲ましたらいい。ここまで用意したんだから俺の初めての騎士リカルドとして褒美を受け取ってくれるよね?」


 亮二の言葉にリカルドは鼻の奥がツンとする感覚と涙が溢れ出るのを堪えながら「喜んで!この身が尽きるまでお仕えさせて頂きます」と応えるのだった。


 ◇□◇□◇□


 リカルドを騎士として叙勲した後は貧民対策について最終確認を行った。作業者からの小さな愚痴は出ているが、現時点では貧民対策は順調に進んでおり、当面はリカルドに工事を任せ、約束した訪問については1ヶ月後に行う事とした。


「訪問は1ヶ月後にするから皆には伝えといて。それと、これも渡しておくよ」


「これは?」


 亮二から袋を手渡されたリカルドが中を覗くと真っ黒な口しか見えずに中に何が入っているか分からなかった。リカルドの困惑した顔を見た亮二は嬉しそうにすると説明を始めた。


「今、渡したのはアイテムボックスなんだけど、中には作業者へのお土産として王都で売りだす予定の“蜂蜜レモンパイサブレ”って名前のお菓子が入っているんだ。休憩時間にでも食べてくれたらいいよ。1000枚ほど入ってるから気にしないで食べて」


 亮二から説明を受けたリカルドは呆然としながらアイテムボックスを眺めていた。リカルドの知識では冒険者が持っていれば一人前と言われる物であり、間違ってもお菓子を入れる袋として用意するものではなかった。あまりの非常識なインパクトに、働かなくなった頭を必死に動かしながらリカルドは亮二に質問をした。


「せ、1000枚も入ってる?1000枚!なんで1000枚?しかもアイテムボックスに?アイテムボックス!リョージ様!アイテムボックスですよ!」


「おう。アイテムボックスだぞ。ああ大丈夫。そのアイテムボックスは中に入れている間は時間が流れないから腐ったりしないよ?1ヶ月後に訪問する時も別のお菓子を用意して持って行くから楽しみにしといてよ」


「そんな事を聞きたかったわけじゃなくて!アイテムボックスの使い方が間違っている!」と言いたかったのだが、亮二は爽やかに「問題ないよ」と見当違いの答えを返すのだった。


 ◇□◇□◇□


「みんな!喜んでくれ!蜂蜜レモンパイサブレが1000枚売れたぞ!」


「おぉ!1000枚も売れたのか!買い手は?誰が1000枚も買ってくれたんだ?」


 亮二が出資しているお菓子製造工房の蜂蜜レモンパイサブレ作成区画で、支配人から大量販売の報告に従業員達から大歓声が上がった。だが、購入者が亮二である事を伝えられた一同は微妙な顔になった。


「え?リョージ伯爵が買ってくれたの?それって、自分が考えたレシピで作るように指示したけど、売れなかったから責任を取って買い取ったって感じですか?」


「ははっ。そんな訳はないだろう。リョージ伯爵も売れると思ったから作るように指示をしてる。そもそも、売れないとなったら私の権限で製造中止にするよ。他にも作りたいお菓子は沢山あるからね」


 支配人から説明を受けた一同は、1000枚は現在行われている貧民対策の作業者に差し入れとして渡されたこと、それ以外に2000枚を追加注文し、エレナ姫が研究所長を務める“サンドストレム王国すいーつ普及研究所”へ500枚を4回に分けて納品するとの事を聞くと、亮二がお情けで購入したのでは無いと分かって安堵するのだった。


 ◇□◇□◇□


「え?あの“サンドストレム王国すいーつ普及研究所”に納品されるんですか!」


「そうだよ。カレナリエンも研究所に入る?取り敢えずスイーツ好きだったら入っていいとエレナ姫から言われているよ」


「もちろん入所しますが、この研究所ってエレナの趣味ですよね?」


「そうだと思うよ。ちなみに名誉研究員としてマルセル王が入ってるって」


「マルコを呼んできてもいい案件ですね…」

納品された蜂蜜レモンパイサブレはエレナ姫が地方訪問の時に住民に配るために使われるそうです。

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