表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/435

144話 魔法の特訓2 -使えるようになりましたね-

悩める子羊にアドバイス!

 亮二から修練場で何をしていたのかを聞かれたノエリアは、エリーザベトと魔法の特訓をしていた事と上手く出来ていない現状を答えた。


「ちょっと、エリーザベトさんと魔法の練習をしてたんだけど、結局出来なくてね…」


「あれ?そのエリーザベトさんは?」


「いま、休憩中なんだよ。エリーザベトさんは飲み物を買いに行ってるよ。私も、もう少し休憩したら休憩所に行くつもりだったんだ」


 亮二からの問い掛けにノエリアが答えると、マイシカが心配そうな顔で質問をしてきた。


「ノエリア、魔法がうまく撃てないの?」


「そうなんだよね。魔力は問題なくあるんだけど、詠唱を唱えても途中で魔法が消えちゃうんだよね」


「ちょっと、1回見せてもらってもいい?」


 亮二のお願いにノエリアは疲れた身体を引き上げるように立ち上がると、”杖”を構えて詠唱を始めた。ノエリアの目の前に“ファイアアロー”が現れて的に向かったが、的まであと1/3の距離で掻き消えるように消滅した。


 亮二はノエリアが魔法を撃つ動作を眺めていたが、何か気付いたかのように頷くとノエリアに近付いて話し始めた。


「なるほどね。ノエリア、ちょっとだけ俺の助言を聞いてくれる?」


「え?助言?もちろん!今はちょっとでも魔法が使えるキッカケが欲しいよ」


 亮二の言葉に激しく反応すると抱きつかんばかりの勢いで近付いて頷くノエリアだった。


 ◇□◇□◇□


「これはどういう事ですの?」


 エリーザベトが休憩所から飲み物を買って帰ってくると、そこにはあり得ない光景が広がっていた。さっきまで魔法が撃てないと涙目になっていたノエリアが嬉しそうな表情で魔法を撃っていたからである。


「あっ!エリーザベトさん!見てください!魔法が撃てるようになったんですよ!」


「それは、おめでとうございます。でも、どうされたんですか?失礼ですが、さっきまで魔法が撃てませんでしたのに急に撃てるようになるなんて?」


 エリーザベトが帰ってきたのに気付いたノエリアが嬉しそうに近付くと、魔法が撃てるようになったと報告をしてきた。それを聞いたエリーザベトは祝辞を伝えると、なぜ急に魔法が目標に届くようになったのかを聞くとノエリアは説明を始めた。


「それはですね。マイシカとリョージ君が来てて、事情を話したら助言をくれたんですよ。『もう、ノエリアの魔法は完成しているから、後は目標の後ろまでを打ち抜くイメージでしっかりと見ないと駄目だよ』ですって。そう言われてから目標の後ろをイメージしながら撃ったら届くようになったんですよ」


「目標の後ろを撃ち抜くイメージですか?」


「そうなんですよ。リョージ君の話では人によってイメージが違っているので、画一的にやっては駄目なんですって。私の場合は目標に対しての目測が上手く出来ていないので的に魔法が届かないって言われました」


「そうなんですね。じゃあ、これでノエリアさんが魔法を撃てるようになったんですから、ダンジョンにアタックできますね。今日はお疲れでしょうからここまでにしましょう。明日の授業でシャルロッタ先生をビックリさせましょうね」


 エリーザベトはノエリアから説明を聞き終わると、買ってきた飲み物を渡して特訓の終了を告げるとその場を後にするのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちょっと!お話をさせてもらってもいいですか?リョージさん」


「え?エリーザベトさん?何?」


 ノエリアと別れたエリーザベトは急ぎ足で亮二を探すと、学院内の道具屋で小袋を真剣な目で見ている亮二を発見した。エリーザベトに声を掛けられた亮二は小袋を元に戻すと「なに?」と返事をしてエリーザベトからの声を待った。


「えっとですね。ノエリアさんに魔法を教えて下さって有難うございました」


「あぁ、もうほとんど魔法としては完成してたのに最後の美味しいところだけ取っちゃってごめんね」


「そんな事はありません。私ではノエリアさんに最後の美味しいところは教えられませんでした。それにしてもリョージさんはどこで魔法を習われたのですか?教え方も独特で実に興味深いんですが?」


「え?魔法は誰にも習ってないんだよ。だから独学なんだよね」


「え?ど、独学なんですか?では属性魔法をどうやって覚えられたんですか?」


 エリーザベトから貴族らしからぬ言葉で始まった会話は、亮二がどうやって魔法の勉強をおこなっているのかとの話になった。亮二は暫く考えると「ノリと勢い?」と首を傾げて答えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「『ノリと勢い』ですか?なるほど、私にはまだ教えられないってことですね?」


「そうじゃなくてね。エリーザベトさん、結構本気で言ってるんだけど。ん?いま『まだ』って言った?」


「ええ!そう言いました!分かりました、『まだお前には俺の教えを受けるには実力が足りない』と仰りたいのですね」


「え?そうじゃなくっ…「いえ!最後まで言われなくても分かります!公爵の娘だろうと二つ名を持っていようと、リョージさんに実力を見せない事には何を教えていいかも分からないって事ですよね?分かりました!ノエリアさんも魔法を使えるようになられました。だから来週にはダンジョンにアタック出来るでしょうから、そこで私の実力をしっかりとお見せしますわ!」」


 エリーザベトは亮二の話を遮って一気にまくし立てるように話すとビシッと指を向けて宣言すると颯爽と立ち去るのだった。

また、エリーザベトが1人で納得して去っていったね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ