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118話 入学試験の始まり -全力のスタートですね-

同じ世代の友達が出来ました!実年齢からすると全員可愛いらしいです。

「なるほどね。これが”リョージ君だから”の使い方なのね」


 ルシアが飲み物を飲み干して溜息と共に呟いた。周りの一同も同じように疲れた顔をして頷くと「これからよろしくね。しっかりとリョージ君を監視しようね」と一致団結していた。


「いやいや!何で俺が一致団結の根源になっているの?俺の扱い酷くない?」


「それは仕方が無いですよ。いつも言ってますよね?『リョージ様の常識を私達に当て嵌めては駄目です』って。学院の生活では無茶をしないように気をつけて下さいね」


「と、取り敢えず自己紹介をしようよ。俺の名前はリョージ・ウチノでユーハン伯爵に仕えているよ。昨日、子爵になったばかりなんだ」


 何とか話題を変えようと亮二から自己紹介をしたが、今度も一同は硬直してしまった。


「今度は何?」


「い、いや。いま子爵なったって聞こえてきたから。え?本当に子爵なの?昨日の謁見の日の夜にマルセル王から貰ったって?爵位ってそんな簡単に貰えるものだったっけ?」


 亮二の子爵発言にルシアが最初に硬直から回復したので代表して確認すると亮二から「そう!」と笑顔が返ってきた。亮二の爽やかな笑顔に困った顔でカレナリエンを見たが彼女からは「だからね」と悟った目が返って来ただけだったので、盛大にため息を吐くと「リョージ君だから、リョージ君だから」と呪文の様に唱えて、仕切り直したように表情を改めると挨拶を行った。


「私の名前はルシア=クルベロよ。今日の昼一番に到着してから、ここで人間観察をしていたの。お陰で楽しい人達と物凄く楽しい人(・・・・・・・・)と友達になれたから良かったわ。試験に受かったらよろしくね」


「マテオ=ヒネメスだよ。一応貴族って言っているけど貧乏貴族の三男だから貴族ってのは忘れてくれて良いよ。魔力が有るから冒険者として生計を立てる為に来たって感じかな?」


「マイシカ=モロンです。魔道具店の娘で、学院には道具作成に必要な知識を得るためにやって来ました。さっそく友達が出来たので良かったです。お店に来る時は言ってくれたらオマケしてあげるからよろしくね」


「ロサ=サルミエントよ。この中だったらカレナリエンさんを除いたら最年長かしら?冒険者として暮らしてたんだけど疲れちゃって。学院で優秀な成績を収めて雇ってもらうつもりよ」


「オルランド=ラベルニアだよ。リョージ君の次に若いと思うから仲良くしてね。ちょっとした魔法は使えるから学院で勉強して威力を上げたいって思ってます!」


 自己紹介も終わり、受付を見ると亮二達以外は殆ど残っておらずに周りには静けさを取り戻していた。亮二は【土】属性魔法で創りだしたテーブルと椅子や食べ物を入れていた小物たちをストレージに収納するとカレナリエンの方を向いて「じゃあ、そろそろ行ってきます」と伝えるのだった。


 ◇□◇□◇□


 無事に受付を済ましてカレナリエンと別れた6名は試験会場である修練場に辿り着いた。普段は学院の生徒達が攻撃魔法などの練習をしている場所だが、今日は試験の為にごった返していた。


「あっちみたいよ。早速、行ってみましょう!」


 ルシアが元気良く走っていったので残りの一行は苦笑しながら、ゆっくりと歩いて魔力測定の場所に到着した。試験会場の第一関門と呼ばれる場所であり、ここの試験に合格しないと次の試験を受ける事が出来ない仕様になっていた。試験官である男性は6名が来たのを確認すると、手元のバインダーに表示されている名前を見て頷きながら話しかけてきた。


「君たちで最後のようだね。順番にやっていってくれるかい?聞いているとは思うけど、ここの試験に合格できないと”魔力なし”と判定されるので次の試験は受けずに帰ってもらう事になるからね」


「分かってます。じゃあ、私からやっていい?」


 ルシアが先陣を切って魔力測定器に両手を翳すと魔力を流し始めた。魔力測定器は赤色を放つと5秒程で最初の状態に戻った。


「おぉ!赤色か。君は平均より多い魔力を持っているようだね」


「有難うございます!やった!これで第1段階を合格したわ!」


 嬉しそうにしているルシアを見ながら自己紹介の順番に魔力測定を行っていった。結果は「マテオ:赤色、マイシカ:薄い赤色、ロサ:濃い赤色、オルランド:赤色」となった。測定を眺めていた試験官は驚いた顔で「君たちは全員友達かい?」と聞いてくるのだった。


「いえ、受付の所で出会って仲良くなったんです」


「そうか、ここまで連続で赤色が続いたのが初めてだったから、どこかの私塾で一緒に勉強していたのかと思ったよ。剣を使える子も居るみたいだからバランス的なパーティーが組めそうだね」


 試験官はそう言いながらバインダーに書かれている最後の受験者の名前を見て息を呑むと亮二をジッと見てきた。


「えっと、試験官殿。私に何か?」


「いや、リョージ・ウチノ君だよね。次は君の番だから魔力測定器に魔力を送ってくれるかな」


 亮二は魔力測定器に対して両手を翳しながらユーハン伯爵とハーロルト公爵の伝言である『壊すつもりで思いっ切りやってこい。弁償については気にするな』との内容を思い出していた。


「よし、やっぱり『全力でやれ!』って言われているんだからテンプレ的にも壊すくらいで思い切りしないとな」


 亮二は両手に魔力を最大限に纏わせてドンドンと圧縮していくと、魔力感知を出来る者達がギョッとした顔をしたが、亮二は測定器に集中していたので気付かずに圧縮した魔力を一気に魔力測定器に送り込んだ。魔力を送り込まれた測定器は、見ている者が目を開けられない程に赤く輝きながら発光した。発光が止み、視力が回復した者が魔力測定器がある場所を見たが、そこには測定器が置かれていた形跡は全くなく机だけが残っていた。


「え?どうなったの?測定器どこ?」


「君の魔力が凄すぎて消滅したみたいだね」


 流石の亮二も魔力測定器が有った場所を呆然として見ながら呟くと試験官が青い顔で答えてくれた。


「って事は合格ですよね?」


 亮二は試験官に確認を取って頷きをもらうと、ルシア達の方を見て「やったね。全員で合格できたね」と笑顔で話しかけたが、一同からは魔力測定器が有った場所と亮二を交互に眺めると溜息を吐きながら「「「「「リョージ君だからね」」」」」と綺麗にハモった声が返ってくるのだった。

なんか「リョージ君だから」がデフォになりそうなんですが……。

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