119話 入学試験の途中 -やり過ぎは楽しいですね-
どんどん試験をやっていきます。
「壊れるのは百歩譲って分かるとして、消滅するってあり得るのか? だが実際問題として測定器は消滅してる訳で、事象としては理解できるが…ん? あぁ、すまない。ちょっと考え事をしていたよ。ここの事は私に任せて次の試験を受けに行ってくれるかな?」
ブツブツと呟いていた試験官は亮二達の視線に気付くと、青く疲れた顔で次の試験場所に移動するように伝えてきた。試験官の言葉に従って一同は受験生は移動を開始しながら周りを見渡すと、亮二達以外は全ての試験が終了しているようであり、会場に残っているのは受験者である亮二達と興味津々の試験官達だけになっていた。
「なんか、物凄く注目されてない?」
「当然でしょうね。私も冒険者時代に魔力測定器で測定した人を見てきたけど、壊した人を見た事は無かったわ。ましてや消滅させた人なんてね」
「でも安心して!ここで注目を浴びているのはリョージ君だけだから」
オルランドが周りを見ながら呟いた言葉にロサが答えて、その後を引き継ぐように元気にルシアが言い切った事に1人を除いた一同は「そうだよね」と頷くと次の試験場所にいた試験官に到着を告げるのだった。
「ルシア、マテオ、マイシカ、ロサ、オルランドです。それと別規格のリョージ君です!」
「え? なんで俺だけ別枠扱い?」
亮二達が次の試験場所に到着した事を確認すると試験官はバインダーに書かれている受験者の名前を確認しながら「じゃあ、試験を始めようか」と伝えてくるのだった。
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-属性判定試験-
亮二達は次の試験である「属性判定」はギルドで行ったのと同じように水晶球が置かれており、そこに魔力を流し込んで属性を判断する形式だった。先ほどと同じ順番で試験を受けていった亮二以外の結果は「ルシア:火風属性 マテオ:火水属性、マイシカ:火水属性、ロサ:火水属性、オルランド:火風属性」だった。
全員が最初から2属性持ちである事に通常なら驚きを持って迎えられ豊作なのを喜ぶのだろうが、試験官の目線はバインダーに書かれている亮二の名前に意識が行き過ぎており「魔力は桁外れに多いみたいだが属性数はどうかな?」と呟きながら亮二に向かって「次は君の番だよ」と告げるのだった。
「分かりました。次も全力で張り切らせて頂きます」
「「「「「間違っても水晶球を壊しちゃ駄目だからね!」」」」」
綺麗に揃った注意に対して亮二はゲンナリとした顔でルシア達を眺めて「無茶はしないって」と心配しないように伝えると、水晶球に手を当ててギルドの時と同じように金魚鉢に水を注ぐイメージで魔力を注ぎ始め、水晶球が魔力で満たされている事を確認した亮二は次々と属性を変更をし始めた。
「まずは基本的って聞いた火属性の赤に、水属性の青に風の銀色で氷の白だろ、土属性は分かりやすい茶色で、確かピンクは回復属性だったよな。最後は俺のお気に入りの雷属性っと!」
「えぇ!なにそれ!リョージ君ってどれだけ属性を持ってるの?」
「取り敢えず、自分で把握しているのはこんだけかな? あっ!そうそう全部混ぜたら無色透明にもなるんだった」
マイシカからの問い掛けに亮二は嬉しそうに答えると水晶球の表示を無色透明にして見せ「凄いでしょ」と笑顔を向けたが、受験仲間たちからはマイシカこそ声を発したが、他のメンバーは一瞬だけ驚いた顔をしたが「まっ、リョージ君だからね」と達観した表情で首を振りながら事実を受け止めた。
「リョージ君、ひょっとして光と闇とか時空属性とかも持ってるんじゃないの?」
ふと気になったマイシカの問いかけに興味を持った亮二が「え? それってどんな感じなの?」とマイシカに尋ねると首を傾げながら答えが返ってきた。
「確か、光属性は雷に近い金色だけど、銀色も混じってたと聞いたことが有るよ。闇属性は名前の通り真っ黒になるらしいよ。時空は回復を除いた色全てが同時に水晶球に映るんじゃなかったかな? お父さんの部屋に有った大昔の本に書かれていた内容だから正確かどうかは分からないけど」
マイシカから光闇時空の属性が有る事を聞いた亮二は水晶球に向かって早速イメージすると「こんな感じかな? あっ、出来た」と言いながらマイシカ達に水晶球を見せようとしたが、すでにルシア達や試験官達は驚愕した表情で水晶球を眺めているのだった。
「どうしたの?」
「取り敢えずリョージ君の質問に答えてあげるね。光闇時空の各属性は遺失属性って言われているの。500年ほど前までは有ったそうなんだけど、徐々に使える人が居なくなって今では誰も使う事が出来ないって言われているわね。結局、何が言いたいのかと言えば”リョージ君は非常識”すぎるのよ!」
亮二のキョトンとした顔に対してルシアは変に固まった笑顔で説明を始めながら、最後は試験会場中に響き渡る声で絶叫するのだった。
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-詠唱速度試験-
「取り敢えず、試験は全て終わらそう。リョージ君に対する話はそれからだ。試験を受けるのは君達を残すのみだからね」
試験官達からそう言われた一同は残りの試験を受ける為に移動を開始した。ふと振り返って属性判定試験の場所を見ると、何名かの試験官が水晶球に魔力を注いで亮二が起こした現象を再現できないかを試しており「出来るか!こんなもん!」と叫び声を挙げていた。
「じゃあ、リョージ君以外の受験生諸君は一斉に詠唱速度試験を受けてくれるかな」
「あの、試験官? 俺だけ”のけ者”にしてませんか?」
「どうせ君の事だから詠唱速度も桁外れなんだろ? 一緒にやったらこの子たちが可哀想だよ」
「そんな時は”リョージ君だから”って一言で説明できますよ」
「なるほどね。”リョージ君だから”か。言い得て妙な言い回しだね。気に入ったから使わせてもらうよ」
「やめて!”リョージ君だから”は禁句だって!試験官さんも真面目な顔で検討しないで!」
亮二の叫び声も虚しくルシア達や試験官は「”リョージ君だから”」と声を合わせるのだった。
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「じゃあ、リョージ君。そこまで”自分は特別じゃない”って言うなら、この道具に魔力を撃つようなイメージをしてくれる?」
「え? こうですか?」
「やっぱり、ここを見てくれる?」
「え? 0.05秒って出てますけど?」
「ここの時間は詠唱速度を計る魔道具なんだよ。手から魔道具までの伝達時間で測定できるんだけどね。普通は3秒くらいは掛かるかな? だから”リョージ君だから”って事でいいかな?」
「「「「「異議なし!」」」」」
「理不尽だぁ!」
「リョージ君が『理不尽だぁ!』って言ったら理不尽が怒ってくると思うよ」
理不尽が怒ってくるって言われました……。




