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第91話 温泉回兼水着回

本来の僕の迷宮(ダンジョン)に戻った。


今僕と摂理は一緒に温泉に入っている。

勿論水着着用で。

何故か僕も女性用の水着だ。

…先に言っておくと僕はもう二度と自分が着用した水着を売るつもりは無い。



白焦孔雀に進化した鳥が先程からピーピーと鳴いている。

本来はサイズはもっと大きめなのだろうけれど、

この鳥はかなり小さい。2回も進化して、未だに僕の首までの高さにも届かない。

発育不良だろうか?食べ物は野生種よりは遥かに良いものを食べている筈だけれど。


今ピーピーと鳴いているのは、

自分がお湯に浸かれないのに僕達が入っているから拗ねているのだろう。

何と無くそんな気がする。


それにしても、

「頭を含めて全身が痛い。」

回復術式は筋肉痛には効かないのかな?


「それはどこかのバイク乗りや戦闘民族のような真似をしてましたからね。

全力で全壊したような気分でもしょうがないのではないですか?。」



「やった摂理が言うのはどうなのかな?」


「でもそれで勝てたのでは?」



「それについてはありがとう、摂理。」


「どういたしまして、遥さん。」



「そう言えば、あの情報は確認したかな?」


「はい。あの件ですね?」



「娘が帰ってこなかったことにより悲しみに明け暮れた保安官と、

御使いたる『勇者サマ』と酷似した特徴の人物に復讐するために捜している男に対し、

『勇者サマ』を信仰する人々の代表たる保安官の娘婿が2人を追放処分。

…誰が悪いのだろうね?」


「…どう考えても遥さんでは?」



「そうかな?本当に大切なものなら決して手放すべきではない。

手を放してしまった、放さざるを得なかった者の弱さが悪い。

弱いから奪われる。」


「遥さんは…」


僕は?


「遥さんは…、私を手放さずにいてくれますか?」

摂理の顔が赤いのも目が潤んでいるのもお湯で上せたせいではないのだろう。


僕は、


僕は…、


「僕は…」

そう言いかけた時だった。


「Piii!! Pii!!」

鳥が、溺れていた。

無理に温泉の中に入ろうとしていたのだろう。


無理して。全く。

火属性の鳥が水の中に入るからだ。この鳥頭。

…仕方がない。


「鳥、僕の身体に掴まることを許す。

直ぐに上がって水を飛ばしておいてくれ。」


暴れる鳥は僕をも掴む。

多少爪で引っかかれたけれど、

なんとか水からは出せた。


「はっ遥さん、血が出てます。回復術式(ヒーリング)っ。」


血が止まり傷口が塞がっていく。

やはり魔法というのは凄い。


魔法と言えば、

「傷は問題ない。

ところで以前やっていた、超距離(ディメンション)転移(テレポート)なんだけれど、

天界領域(しんいき)にはどう行けばいい?」


「天使であれば問題なく行けます。

それ以外だと、迷宮主(ダンジョンマスター)と強力な力場を用意するか、

クリアするかどちらかです。」



「…クリアはできるのかな?」


「…したいのですか?」



「僕を邪魔になった神が強制的に追い出す手段としてクリアさせることは?」


「それは有り得ません。

クリアするかどうかは条件に加えて対象の意思もありますし、

第一、仮にそれを行った場合、

元の世界に戻った遥さんの因子の欠片を辿って、

強力な別の同異存在が混入することもあります。

何としてでもこの世界で遥さんをゲームオーバーにする必要があるんです。」


それは良かった。

…良かった?今、自然にそう思ったのかな?

まあいい、今はそれは置いておこう。


つまり、

「完全な勝利か、完全な敗北しかないわけか。」



「2択ですか?」

摂理は実によく解かっているね。


「いや、選択肢ですらない。

僕の先にあるのは完全な勝利だけさ。」

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