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第75話 ころころ☆しちゃうゾ

今僕は七面鳥の丸焼を食べている。

摂理もそれを食べている。

そこまでは良い。


けれど――――それを白炎孔雀(とり)に食わせるのはどうなのだろうか。

白炎雛孔雀から進化したお祝いというのも解かる。

お祝いに鳥の丸焼きを食うというのはまだ解かる。

だが『白炎孔雀』に鳥の丸焼きを食わせるのは良いのだろうか?


「Piiii♪」

いいのだろう。お前が気にしないのならそれでいいよ。

考えてみれば猛禽類だって主食は小鳥だし、

大魚だって主食は小魚だ。

孔雀が七面鳥を食っても何の問題も無い。


…そんな酷く平和惚けしたことを考えながらも、

以前来た迷宮主(ダンジョンマスター)の事が頭の隅でちらつく。


「摂理、以前の男の情報は集まったかな?」


「いえ、全くと言ってもいいほど集まりません。」


仕方がない。

「今から、他の迷宮(ダンジョン)を潰していこう。」


「…明日からにしませんか?

もうぴーちゃんも1匹でお留守番できるものですけど、

今日はぴーちゃんのお祝いにしたいのですが。」


解かった。

「許可しよう。では僕は自分の迷宮(ダンジョン)におでました侵入者君たちの相手でもしてくるよ。」


「無理はしないで下さい。」



「無理は、しない。」

もっとも僕に無理なことなどそうないけれどね。



取り敢えず巨大温泉群に転移してみる。

ちなみに僕の今の格好は薄手の水色の絹を重ねて巻いたドレスのようなものだ。

クリアリプルスに販売してある月刊女神マガジンにあった格好だ。

月刊という割に不定期発行らしい。けれどそんなどうでもいい事よりも、

僕はそのような格好をしたことは無いというのに人間の妄想力には驚くばかりだ。


女神女神した格好で冒険者たちが集まっている場所へ行ってみる。

現在の僕の迷宮(ダンジョン)では、難易度が高すぎて入口から近い場所でちまちまと狩っては、

直ぐにクリアリプルスに戻るものが若干増えたらしい。


それも一つの戦略だろうけど、こちらとしては美味しくない。

そう思っているところで侵入者の一人が僕を見つけた。


「めっ、女神様だ。なんて美人だぁ。うひょ~~。」



品性の欠片も無い。

朽ちて死ねと言いたくなるけれど一応はお客様だ。

その気にさせて折角なので目的を果たしておこう。


「この迷宮(ダンジョン)の魔王を倒して。

私からの☆お・ね・が・い……駄目ですか?」


そう言って姿をくらますと、


「「「「「喜んでーーー!!」」」」」

男たちは皆自分から迷宮のお口へ向かいだした。

男ってホント馬鹿と思わず言いたくなるような光景だ。




仕事を終えて僕が管理室に戻ると、

摂理が爆笑で迎えてくれた。


「ふふっ、すみません。あの、ふふふ…ええ、すみません。

モニターで、ふふ。見ていたのですが。

遥さんが、お・ね・が・い…ふふふ、すみません。驚きすぎて。」


「女装したくてしているわけではないのだけどね。」



「い、いえ、そうではないんです。

余りにも見た目には違和感が無さすぎて、

逆にそのビジュアルの自然さが面白くて。

はい、遥さん本当に可愛らしかったですよ?」


……慣れているからいいさ。

別に対して傷ついてもいない。


「だったら一緒に月刊女神にでてみようか?摂理。」


「……ん~、いいですよ。それでも、

牽制になりますから。」

…いいのか?

その回答は想定外だった。絶対断るものと思っていたのだけれど。



「取り敢えず僕はシャワーを浴びたら部屋に戻るよ。

いつもの様に紅茶を用意していてくれ。」



「遥さん、もしかして不貞腐れてますか?」

そんなはずはない。

摂理の目はきっと節穴だろう。

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