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第32話 DREAM CLAVE 住めない砂漠に住民混乱、5FLOORの巨大階層に匠が挑む。

両断刃(ブレイド)麒麟(カメレパード)大電査古鱗魚(ギガナルクス)を戦わせて漁夫の利を得てから数日。

両断刃(ブレイド)麒麟(カメレパード)はカタログに加えられ、

今は砂浜を走り回っている。

大電査古鱗魚(ギガナルクス)は淡水魚なので今のところは様子見とする。


他にも三又首蘇鉄(トリドラソテツ)などが砂浜を闊歩していたり、

大鬼昼顔(オオオニヒルガオ)を中心とした鬼昼顔(オニヒルガオ)の群生地が広がっていたり、

既に砂浜部分もかなりの危険地帯に成長してきたように見える。


僕の迷宮(ダンジョン)はすっかり高難度迷宮としての名前を広げ始め、

今日もそれなりの級の侵入者達が訪れては、

命と装具を置いていってくれる。実に、ありがたい事だね。


階層も15階層にまで増えた。

新たに増えた5階層には『浅瀬』と『砂地』のフィールドを当て、

1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

 11階層 浅瀬

 12階層 浅瀬

 13階層 砂地

 14階層 砂地

 15階層 砂地

とし、

それらそれぞれを結合させ、

1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

11~12階層 浅瀬 海 

13~15階層 大砂漠 


とした。

更に、11~12階層と13~15階層を結合。

大量の塩水が砂漠に掛かり砂の底に染みこんでいく。


その結果、

1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

11~15階層 死の砂漠



大量の塩が散布された砂漠になり、

存在する生体もかなり癖のあるものになるだろう。

砂がかなり低く凹んでいる場所では超高濃度の塩湖が出来ており、

まるで鏡の様に空を映し出している。

これはこれで美しい。


醜いものを蒔くのは不服ではあるけれど、

生命力の強くて、何より繁殖力の在りそうな御剛沙蚕(ゴゴゴカイ)を大量に蒔いておく。

何匹か浅瀬から御剛豪沙蚕(ゴゴゴゴカイ)も転移させておく。

後は適当に塩分に強そうな海浜植物系のモンスターを転移させたり、生成しておこう。

精々、地獄のオアシスを侵入者に楽しませてくれ。



それと、やっているうちに気が付いたのだけど、

こころなしか階層(フロア)一つ一つの広さも広くなった気がするのも決して気のせいではない。

そして海中では礁湖雀蜂(デュカリス)の仔達が蛹になったようだ。


浅瀬に礁湖雀蜂(ボス)がいる以上、

それ以上先に侵入者が来ることは無い。

現状では『死の砂漠』をお披露目することは無いだろう。

彼女(デュカリス)防衛(ディフェンス)よりも攻勢(オフェンス)に定評があるけれど、

その防衛(ディフェンス)に難があるわけではない。

何せ、彼女(デュカリス)は迫りくる敵たちから巣を護り続けてきたのだから。

問題は、無い。


彼女(デュカリス)(かてい)が出来てからは、

昔と比べれば疎遠にはなってしまったけれど、

それでも彼女(デュカリス)の事は気にかけているつもりだ。

…というか思考パターンがおおよそ理解できる。


僕が壊れていなければ、

失ったものを手にしたまま、それを誇りに変えられたなら、

きっとこうであるだろう、そういう行動を彼女(デュカリス)は取ってくれる。


ただ真っ直ぐ自分の正義を信じ、自分の誇りを信じ、

自分の血筋を誇る。


…きっと、彼女(デュカリス)の父親は僕のとは違い、

能力だけでなく、良い父親だったのだろう。

彼女(ぼくたち)の事だけは、どうでもいいと斬り捨てるわけにはいかない。

彼女(デュカリス)こそは失わなかった僕自身。

つまり、お母様を心に残せた僕自身のまた別の可能性だからだ。



そんなことを考えながら、

僕は紅茶を飲んでいた。



「…ああ、今日も来たみたいだよ?あの二人が。

仲睦まじくて微笑ましいね。」


「そうですね。すっかり強くなりました。

あの時はまだ宝箱を偶然早く見つけて、

偶然直ぐに帰るまでに怪物(モンスター)に襲われなかっただけでしたけど、

…強敵になるかもしれませんよ?」



以前、僕の迷宮(ダンジョン)に何回か来た少年少女の二人組が今日も来ていた。

土佐猛犬(トサドック)を少女の魔法が貫き、

少年が斬り伏せた。


「凄いね。D-ランクが形無しだ。

…なるんじゃないかな。彼らが。

『勇者』とやらに。」


「可能性はあります。」



「それは面白いね。素晴らしい。」


「そんなに気楽に構えていいのですか?」



「慢心せずして何が魔王か、ってね。

そういうことさ。」


「救いは、勇者システムの発現確立を引き上げる要素が、

余りない事ですね。」



「発現確立を引き上げる要素?」


「劇的な悲劇です。

目の前で大切なものを失う。

故郷を無くす。色々ありますが…。」



「成程ね、劇的な感情で『力』に自身を認知させ、

空白の中に『力』が漬け込むすきを与えればいいわけだ。

だったら僕が『勇者』であったら面白い結果になったかもね。」


「…冗談がきついですよ、遥さん。

遥さんは誰が見ても魔王かヒロインです。」



「そうかな、まあそれはいいとして、

…あの二人のどちらかを殺害すれば覚醒してくれるのかな、

『勇者』に。愉しくなりそうだね。」


「…っ。やっぱり酷い人ですね。

やはり遥さんは魔王以外ないと思います。」



「摂理はどちらを殺せばいいと思う?」


「…現状では解かりません。『勇者』を見たいのなら、

様子を見ているのが得策かと。」



「摂理がそう言うなら、

今回はそうしておこう。」


「…驚きました。」



「…何にかな?」


「遥さんが自分の意見を…いえ、何でもありません。」


そうか、最初に行っていたゴニョゴニョが気になるけれど、

気にしないでおこう。



「話は変わるけれど、

以前言っていた『バグ』について、

又、説明してくれるかな。」


「はい。以前ご説明したように『バグ』はこの世界のシステムの矛盾が形づいたものです。

世界が無理をすればひき起こる現象ですね。

その在り方はこの世界を崩壊に導きかねない、けれどもその規模は小さく全く心配するには至らない、

そう言う存在です。」




「……最大のものは?」


「この大陸の中央にある狂気の山脈の頂上に出来た泉にあります。」



「そうか…、その成り立ちは?」


「私も知らされてはいません。」



「いつか、観に行こう。」


「解かりました。その時は、」



「前と同じ料理を作ってくれればいいさ。

あれは、あれはとてもおいしかった。」


「光栄です。」

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