第23話 夜はあまり食いだめせず、リラックスして寝るのが美容と健康に良い。
御剛沙蚕達には休息を与えてやろうかな。
そして――――
「折角買った魚喰蝙蝠に働いてもらおう。」
魚喰蝙蝠は水面の波紋すら読み取る高性能の超音波のレーダーを持ったコウモリのモンスターだ。
昼間は戦力としては微妙なので待機させておいた、というか行動しないで眠っていた。
だがその戦力の本質は夜。
つまり、摂理の言葉を借りるなら夜戦だ。
昼間は見えていた敵を倒せばよかっただろうけれど、夜(今)はそうはいかない。
だが人間は馬鹿ではない。
暗くて見えないのなら明るくすればいいだけなのだから。
兵士たちは中央の篝火を使って松明に火を灯し、空を照らそうとし始めた。
だが、こちらには便利な拳銃魚がいる。
テッポウウオの様に水を高圧縮で吐き出すこのモンスターが、
大量に夜の海の浜辺付近に妖しく集まりだし、
動く得物を撃ち落とす程の精度を持って、大本の篝火を消す。
夜に安堵出来る心のよりどころであった火が消え去って、兵士達はここに来てパニックになる。
様々な方に逃げ出して行く。
特に海の方に走っていったものは、もれなく魚たちのエサになった。
…このダンジョンの本質は入口の砂浜ではなく海だよ。
まだそこにも達していない。
―――――辿り着かせるまでに殺してあげるよ。
朝日など拝めるのは何割になるだろうね。
だけどそれだけで終わりになどしない。
大量の膿鴎や蛆藤壺による自爆テロ染みた、
猛毒の体液のまき散らし攻撃。
足元を掬いに来る陸奥六郎の舌や、
砂浜に上がってきた怒海蛇の身体による巻き付き。
妖浜跳虫、陸奥六郎には跳ね上がる特性を生かして、
一気に相手の纏まっているところに飛び込んでもらう。
軟船虫にも同様にそのスピードと柔軟性を生かして同じように運用する。
……何、1匹死んでも1人殺せばおつりが出るから。
何も問題は無いさ。
「摂理、どうかな。」
「素晴らしく容赦のない作戦ですね。」
当たり前だろう。
「容赦して死にたいのかな?僕はそんなのは御免だよ。」
「同感です。」
「紅茶を用意してくれるかな。夜食はいい。
僕はもう寝るから。
―――――――――――どうせ結果は見えている。」
さて、朝になった。様子を見てみようか。