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第25話 少女たちのバースデー(前編)

 

「うっ……な、なによっ!」


「……わくわくっ!」


 出会ったときにプレゼントしてやった、防御力の低い装備を身につけているレナとノナ。

 いまコイツらがいるのは……魔王城の()()()だ!!


「ふん、いい格好だなぁ!!」


「ちょっと! 何事なのか説明しなさいよ!!」


「わくわくわくっ!!」


 今日は朝メシの準備をさせず、朝7時まで惰眠をむさぼらせた挙句、いつもより少量の朝メシしか食わせていない。


 その後正装に着替えさせ……両手を後ろ手にふんじばって牢屋にぶち込んだのだ!


「駄目だ!

 もう少し待ってな。

 ……ああそうだ。

 この時間は休憩時間だから、給金は通常の半分だぜ!」


 まさに外道!!


「あーもう! わけわかんない!!」


「え? お金もらえるの?」


 レナノナの悲鳴を背後に聞きながら、俺は地下牢から城の中庭に駆け上がる。


「ガイの旦那! こちらの準備はオーケーです!」


「おう、いい仕事だ!

 給料は3割ぽっちしか上げてやらねぇ!」


「うおおおおおっ!?」


 まさに外道!


「おっと、そうだったぜ」


 大事なことを思い出した俺は、通信魔術をミルラにつなぐ。


『……急になんだ、ガイ』

『私は忙しいんだ』


 即座に応答が返される。

 こいつ、実は暇だな?


「今日の昼、俺の城に来い」


『んなっ!? おい、監査申請が当日いきなり通るとでも!?』


 ミルラは何やら文句を言っているが、お前週一で来るじゃねーか。


「あー、はいはい。 遅れんなよ?」


『私の話を聞け!!

 今日はそもそも……!』


「そうそう」


 なおも言い募るミルラの言葉を強引にさえぎる。


「ちゃんと綺麗な格好をしてこいよ」


『……っっ!?』


「じゃ、あとでな!」


 ぷつっ


 ミルラの返事を待たず、通信魔術を切る。


「さあ! ”祝福虐待”……腕が鳴るぜぇ!!」


 そう、今日は大事な記念日で絶好の虐待タイミング。

 下僕であるレナノナと、ミルラの誕生日なのだ!!



 ***  ***


「ううっ、何でこんなことに……。

 ああっ!? このままじゃあたし、ガイ好みのいんらんくそびっちに調教されちゃうんだわっ!」


「……どこでそんな言葉覚えてくんのノナちゃん?」


「そっちはレナ姉に任せて、あたしはせーじゅんなままで……」


「うおいっ!?」


 いつもの危ない妄想に浸るノナちゃんに突っ込みを入れたいのですが、あいにく両手は後ろ手に縛られています。


「ふむぅ」


 何でこんなことになったのか、わたしは数日前の出来事を思い出します。


 ---


「おたんじょーび?」


 ドラゴンのシェリーちゃんやもふもふコカトリスのモモちゃんが織り成すイリュージョンショーを堪能したわたし達は、遅めの昼ごはんを食べていました。


 今日のメニューは白パンと村の農場で採れたトマトを使った”かぷれーぜ”っていうおしゃれな料理です。


 なにこれ超うめぇ!


 いままで食べたこともない濃厚チーズとみずみずしいトマトの組み合わせに両手が止まらないレナちゃんなのですが、その様子をニヤニヤと眺めている (たぶんスパイスを聞かせまくって香辛料地獄にしてやったぜとか考えていそう。でも、わたしもノナちゃんも辛いの大好きなのです)ガイおにーさんから誕生日について聞かれたのです。


「もぐもぐ……わたしたち捨て子だから、よく分かんないな~」


 物心付いてから今年で10年くらいになるので、たぶん12,3歳だと思うんですが……。


 ちらりとわたしはノナちゃんのほーまんな胸元を見ます。

 対して洗濯板のような絶壁な自分。

 双子なのにこの差はおかしいと思いませんか?


「そうか……」


 一瞬寂しそうな表情をしたガイおにーさん。

 ですが。


「魔界には節目の誕生日を盛大に祝う風習があるんだが!」


 ギラリ!


 おにーさんの紅い両目がギラリと輝きました。


 きゅぴ~ん!

 これは……絶対新しい『虐待』を考えている顔ですっ!


「少し調べさせろ」


 ういいいん


 ガイおにーさんがわたしとノナちゃんに両手をかざします。


「……ほう!!

 いいじゃねーか!」


 何か分かったのか、顔を輝かせるガイおにーさん。


「3日後を楽しみにしてな!

 くくっ、地獄を味あわせてやるぜ!」


 ---


 と、言うことで3日後の今日。

 なぜか手を縛られて牢屋に放り込まれているわけですが。

 室内に置かれたソファーはふかふかだし、外からはにぎやかな村の人たちの声が聞こえてきます。


 絶対楽しいことがあるはずだ!!

 わたしはわくわくとそのときを待ち続けるのでした。


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