第88話 兄ラブドラ子のひな
一応戦いの備えだけしてほしいことと
次は転憑依者全員で一度、席を設けたい旨を伝えた上で
竜の谷、兄ラブドラ子城に向かう。
前回私を発見した時に愛する兄の姿になるまで
散々暴れて壊しまくった城はなおっているだろうか?
竜の谷に着くと以前以上に豪華で真っ白な城がそびえ立っていた。
なんていうか、こう、教会以上の・・・サグラダなんとかみたいな。
入り口付近で分身スキルにより兄の姿を模してから中に入る。
兄さんの顔?と会わせる約束してるし
私自身のことは忘れらてそうだからね。
煌びやかに整った城からは清潔な新築のにおいがする。
以前以上の豪華さが、お兄さまと過ごすお城、感があって
ちょっと引く。いやいや、人の欲望こそが私の糧であり、命だ。
この世界にまで持ち込む常識も、罪も偏見もいらないのだ。
部屋へ入っていくが誰もおらず
道中を止める配下も罠もなかった。
バンッ 扉を開ける音がして振り返ると
そこには最初の時のような真っ白さではなく
日本人の女の子の姿に薄ピンクのドレス。
こういう衣装で閨に招き入れたい感じのちょっと
胸元が空いた衣装。近い服はネグリジェかな?
「兄さん!!!」
花の飾りをあしらった栗毛色の髪を翻し
私の首元にそのまま抱きついてくる。
この無防備さ、ちょっと危ういな。
彼女の記憶の隙間を読み込むと
そこには笑顔で頭を撫でて名前を呼ぶ兄の姿。
双子の兄だったようだ。そっくりの顔で言う。
「ひな」
そう、彼女の名前はひな。兄のひかるを失い
心を病んだままこの世界に生きているのだ。




