74/129
第72話 最後のショー 開始
これまでで一番の来客数だろう。
男性も女性も会場中にごった返している。
この歓楽街では刺激や欲望に貪欲だ。
だからみんな大好きだよ。
全力で楽しませるからね。
広い舞台に上がる。
そこには欲望に滾っていたものたちの熱気が立ち込めていた。
前の世界で海外でライブをしたときに
同じことを感じたことがある。
周り全てが観客で、こっちは芸能人だと思われていて
下手をすると食い殺されそうな強烈な視線。
捕食者と向き合ったような体が硬くなる心地。
この雰囲気にのまれると過呼吸を起こすのだ。
あれはもういやだね、私の方が捕食者なんだから
今度こそ負けないよ。
舞台にあがってきたオタ狼と向かい合う。
この緊張感がたまらない。みんなに見られるの大好き。
よく日本にいた当時ネットで配信してたから
露出趣味もあるのかも。
私は多趣味だから、法に触れなければ
できることは全てしてた自信がある。
人間やめてもよかったんだよ、ほんと。
それでもまじめに生きていたのは
なんかの呪いにかかっていたんだと思う。
真面目の呪い
すっげーこえー
身を守る呪いだとしても私はそいつに蝕まれた。
心が壊れるほどに
猫獣人型のサキュバスが手を振り上げる。
「開始!」




