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巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について  作者: みん
第三章ーパルヴァン辺境地ー
31/182

拘束



()()()()()()があって良かったー





パルヴァン様の邸までやって来た。のは良いんだけど…よく考えたら、森の方からやって来た時点で…アウトなのでは?と、思った時には遅かった…。


私が門番の人に声を掛ける前に、中から騎士様が出て来て…拘束されました…。


そう。あの森は、一般的に立入禁止区域なのだ。しかも、森に入る為にはパルヴァン様の邸の前を通らなければ行けない。でも、そこには門番を始め、騎士様達が常に目を光らせている。

誰もここを通っていないのに、森の方からひょこっと人が出て来る。


ーそりゃあ…問答無用の拘束案件ですよねー


1ヶ月…ここに居たから、私を覚えている人がいるかも?と、少し期待もしてたけど…



ーこの世界は、モブに優しいわけではなかったようですー









騎士様の動きは速かった。

私が声を発する前に両手を後ろに回され、そのまま拘束された…魔術で。多分…声が出ない?様な魔術も掛けられた。


ーすみません。()()、多分、簡単に解けちゃいます……しないけどー


それから地下にある牢屋?みたいな所に入れられてしまった。喋れない事になってるから、私から何かを話す事はしないし、暴れる事も勿論しない。ただ、じっと待っているだけだ。


私を拘束して、ここまで連れて来た騎士様も、怖い顔をして私を監視しているけど、それだけだ。暴力をふるう事もないし、暴言を吐く事もしない。ただ職務を全うしているだけだ。


()()()怖くないー










暫くすると、少し年配の騎士様がやって来た。

以前の時にも、あまり見掛けなかった顔だったから、相手も私の事は知らない可能性の方が高い。


「お前は、どこからあの森に入った?」


開口一番、そう尋ねられた。やっぱり、私の事は知らないようだ。と言うか…声を出せなくなる魔術、解いてもらえませんか?

私を拘束した騎士様を見ながら、自分の口を指で差す。


「あぁ、すまない。」


ようやく気付いたのか、慌てて魔術を解いた。


「…ありがとう…ございます。」


「それで?何故森に?」


「その事に関してですが…直接パルヴァン様かシルヴィア様に…説明したいのですが…。」


年配の騎士様の目をしっかり見据えながら答える。


ーここで怯んじゃ駄目だー


その年配の騎士様も、私から目を逸らすこと無く私を見据えたまま、パルヴァン様の名を口に出した私に殺気を飛ばして来た。

それにグッと耐えて、私は右手に持っていた物を、その年配の騎士様に差し出した。


「これを…シルヴィア様に見せてもらえれば…分かります。」


ー大丈夫…震えるな!ー


それは、帰城する前にシルヴィア様から貰ったピアス。このパルヴァンでしか採れない魔石が付いたピアス。これをシルヴィア様に見せてもらえれば、私が“薬師のハル”だと言う事が分かる筈。


「ふんっ…」


そう言いながら、私の手からそのピアスを取り、そのままここから出て行った。

そして私はまた、声が出ない魔術を掛けられ、ひたすら待つだけの時間を過ごした。









ーえっとー…どれだけ時間が掛かるの!?ー



私の秘密のポーチの中に入れていた、シルヴィア様から貰ったピアスを渡してから…2日は経った。未だに何の音沙汰も無い。それに、今日は珍しく、私を拘束してずっと監視をしていた騎士様も居ない。


パルヴァン様もシルヴィア様も忙しい?


相変わらず声は出せない事になってるし…どうするかなぁ?と、うんうん考えていると、外が急に騒がしくなった。


ーやだなぁ…デジャブだなぁ…魔獣じゃないよね???ー


と、ギュッと手に力が入った。




「ハル殿っ!!」


牢屋入り口のドアが壊れんばかりにバーンッと開き…そこからパルヴァン様と私を拘束した騎士様が入って来た。


パルヴァン様の元気そうな姿を目にして、色んな意味でホッとした。


パルヴァン様は、私が入っている牢屋の鍵を開け入って来る。それと同時に騎士様が私に掛けていた拘束と、声が出せない魔術を解いた。


私の姿を確認したパルヴァン様は、厳つい顔をより一層厳つい顔にしながら


「どこにも怪我はないか?何もされてないか?大丈夫か?」


と、矢継ぎ早に質問をして来る。


「パルヴァン様、落ち着いて下さい!あの、私は…大丈夫ですから!!」


「そうか…すまない。取り敢えず、ここから出ようか。」


3日目にして、ようやく牢屋から出る事ができた。












「あの…シルヴィア様は?」


牢屋から出て、すぐにメイドさん達に囲まれお風呂へと拉致られた。そして、シンプルなワンピースを着せられ、今、パルヴァン邸の応接室の椅子に座っている。そして、目の前にはサンドイッチが用意されていた。


お腹は空いていたので、有り難くサンドイッチをいただいていた時、牢屋から出て一度もシルヴィア様を見なかった事に気が付いた。


「あぁ、シルヴィアか…本当は私がしたかったのだが…()()()()()シルヴィアは誰にも止められないからな…」


と、目をうっすらと細め、ニヤリと嗤うー。


ーえ?その筋の方ですか?ー



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