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桃香ももう12歳か

 5年前に俺と出会った桃香も、今では12歳になりずいぶん大きくそして女らしくなった。


「桃香もだいぶ遊女っぽくと言うか艶っぽくなってきたな」


 俺がそう言うと桃香は、はにかむように微笑んだ。


「そ、そうでやすか?」


「ああ、立派な遊女になれそうで嬉しいぞ」


「あ、はい、色々頑張っていやすから」


 男女とも体が子どもから大人に変わる第二次性徴が現れる時期や発達具合などには個人差があるが、女子は10歳には始まるのが普通で12歳にもなればそこそこ胸も膨らんできて、陰毛も生えて、初潮もくる。


 禿というのは髪型的なものもあるが、陰毛が生えていない年齢であるということも示しているので、既に12歳なら禿ではない年齢でもあるんだ。


 初潮が来てから1年後くらいには全体的に皮下脂肪が増えてきて、腰にくびれができて、尻もでかくなって、大人の体型に近くなる。


 だから遊郭の新造出しは15歳で、水揚げつまり客を取るのは17歳なわけだが、留袖新造などは15歳からもう客を取るのはその時点で十分夜の相手が務まる年齢と考えられていた。


 振袖新造が2年間見習いをするのは接客対応を見ながら学ぶためだけど、そのまえから男と女の性が濃厚にただよう環境であるから、禿は性的には早熟にならざるをえない部分もある。


 まあ長屋とかで親子みんなで寝ていたりする場合も性的なプライバシーはないに等しいとも言えるが、武家や公家、豪商の娘のような深窓のお嬢様といってもいい隔離されている娘はともかく、町民や農民は割とおおらかな感じであったりもする。


 江戸時代は比較的晩婚傾向にあって平均的な初婚年齢は男は25~28歳の間、女は18~24歳の間だが商人の男などは30を過ぎてからようやく所帯をもてるようになったし、逆に武家や公家など14~16歳くらいまでには嫁に行くのが普通で18歳になると行き遅れの年増あつかいされたりする。


 江戸時代は手習い所などで読み書き算術などを覚え、どこかの武家なり商家なりに奉公してから嫁に行ったりするのが普通だったのが百姓町民の晩婚化の原因だったりするのであるが、これは戦後に女性が短大に入りお茶くみとして就職して職場結婚をするのが普通であった時代にも似ている。


 現状では相変わらず太夫のそばでの使いっぱしりや、着替えなどを手伝うとかをやりつつ、酒宴での接客や夜の枕事についても教わり始めている頃だろう。


「俺が教えられることもなくなってきてなんだか寂しいな」


「わっちも寂しいでやすよ」


「たまには一緒に万国食堂で飯でも食うか」


「あい! ぜひともそうしてほしいでやす」


 そうして俺は久々に桃香と一緒に過ごす時間を作った。


 清花が生まれてからは清花の方にかかりきりでもあったが、桃香・清花のどちらにもあまり寂しい思いはさせないようにしていかないとな。

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