29.二人目
最近、夜に戦ったり、魔物のことばかり考えているので、授業に身が入らない。
いや、それは前からだが、前にも増して、授業中の居眠りが増えた。先生は怒るのを通り越して呆れているようだ。このままだと成績がやばいことになりそうだ。落ちてくる瞼を持ち上げ、必死で目を開く……が、気がつくと、やはり眠り込んでいるのだった。
放課後、帰り支度をしていると、だれかが近づいてきた。逢坂涼子だった。
「夜白ー、やっぱりアンタ最近変よ」
「んなことないよ」
俺はそう答えたが、心は上の空だった。
「変っていえば、私も何だか……」
涼子は何か言いたげだ。
「ん? どした?」
「ねえ、夜白。私、変な夢見たんだけど」
「へ?」
「夢にね、妖精が出てきたの」
「よ、妖精?」
まさか。俺は耳を疑った。ポーティなのか? いや、そんなはずはない。何でポーティが涼子の夢に入るんだ。ただの偶然か……?
「でね、妖精、夜白の話してた」
「!」
やっぱり! まず間違いなくポーティだ。でも何で……?
「その顔! 何か知ってるのね? あれ、夢じゃないんでしょう」
「え、い、いやあの」
俺は言い淀んだ。
「何なの? 一体。サーチ能力って何?」
「サーチ能力? え、お前、もしかして能力者なの?」
俺は思わずそう訊き返してしまった。
「能力者? それどういう意味? ねえ、ねえ!」
「…………」
俺が答えに窮していると、胸ポケットから、飛び出してきたものがある。
逢坂涼子はそれを見た瞬間、固まってしまった。
そして俺のポケットから出てきた生き物――妖精は言った。
「どうも、ポーティです」
「あ、あなた……」
驚く涼子に、ポーティが言った。
「夢で、会ったわね」
ポーティと俺は、今までのことをかいつまんで説明した。涼子は、校庭でベンチに座り込んだまま、真剣な顔つきで聞いていた。
「信じられないけど……」
涼子は言った。
「実際に妖精が目の前にいるんだから、信じないわけにいかないわよね」
「まあ、俺も初めは信じられなかったよ」
「そうそう、嘘だ嘘だこれは夢だ、とか言っちゃってね」
「うるさいな」
俺が異世界へ転移したとき取り乱したのは事実だが、あまり女の子の前で言ってほしくない。
「だけど、これは本当に危険なんだ、涼子。嘘じゃない」
「わかってる。でもそんなことが起こっていることを知ってしまった以上、黙って見ているわけにはいかないわ」
「涼子……」
「とにかく。こうなった以上、私も協力するわ」
涼子は立ち上がって言った。その姿は何故か清々しかった。
「サーチ能力者としてね」




