30.三人で
逢坂涼子が二人目のサーチ能力者として仲間に加わった。
今日は、涼子とほたるが初めて顔を合わせる日だ。
公園で待つ間、涼子はそわそわと落ち着かなかった。
「ねえ、どんな子なの、そのもう一人のサーチ能力者って」
「ああ、まあ……」
俺がお茶を濁しているところへ、明るい金髪の彼女がやってきた。
待ち合わせ場所に現れたほたるを見て、涼子は目が点になっていた。俺は、おずおずと紹介した。
「紹介するよ、涼子。明月ほたるさん」
「初めまして」
「ほたる、こっちが逢坂涼子」
涼子は、固まったまま動かない。
「涼子、大丈夫か?」
俺が心配して声をかけると、涼子は金縛りでも解けたみたいに叫びだした。
「信じらんない信じらんない!」
「おい、涼子、ちょっとうるさいって」
「だって、聞いてないもん、明月ほたると知り合いなんて!」
「まあそうだけど……」
それにしてもはしゃぎすぎだ。こう見えて、涼子も結構ミーハーなんだ、とわかった。
そんな風にして、俺達はその日から実戦練習を開始した。
涼子が目を閉じ、集中する……。
「いる!」
「どっちだ?」
「あっち!」
「確かか?」
ほたるに確認する。
「うん」
「よし、行こう」
二人の先導するあとをついていくと……いた。
「あれがシャービル……」
初めてシャービルを見た涼子だったが、恐怖ですくんでしまうようなことはなかった。こいつも、強い。俺は改めて自分が情けなくなる。
その思いを振り払うように、俺は「ひかり」でシャービルを蹴散らす。
「すごい!」
どうだ、俺だってやれるんだ!
俺も、怖がってばかりはいられない。二人に負けないように、頑張るんだ。夜空にそう誓った。
練習を続けてわかったことだが、同じサーチ能力でも個性が出るようだ。どうやら、涼子は魔力の大きさを、ほたるは魔物までの距離を測定するのに長けているらしかった。
涼子の生徒会や部活が忙しいときは、明月ほたると、ほたるの仕事が忙しいときは、逢坂涼子と、シャービル狩りをした。
ときには、三人揃って。
涼子とほたるは、今や顔見知りどころか、俺の知らないうちに仲良くなって、涼子ちゃん、ほたるちゃんと呼び合うようになっている。
今日も、俺たちは晩飯が終わってから、シャービルを探していた。
「シャービルみっけ!」
涼子が言った。
「こっちよ!」
ほたるはもう走り始めている。
「ちょっと待てよ!」
俺も慌てて二人の後を追う。街灯に照らされるアスファルトに足音が響く。
「いたわ!」
俺はずっこけそうになりながら「ひかり」を放つ。何とか、シャービルを仕留める。
「ふー」
俺が息を切らしていると、
「イェーイ」
ほたると涼子がハイタッチを求めてくる。
「…………遊びじゃねえんだぞ」
「わかってるわよ」
「しってるー」
その明るさに呆れるしかない。だが、この二人といると、恐怖感が薄らぐ。三人でならもしかすると、魔王とだって戦えるかもしれない。そう思えてくるのだった。




