↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/47

18.別れ

 結界の丘の上。辺りは薄闇が支配していて、とても静かだ。シーン、という音が聞こえてきそうなくらい。

 俺は空を見上げる。瞬き始めた星々にオーロラと二つの月。

 それらをバックに、ほのかに黄色い光が浮かんでいる。その黄色い光――妖精ポーティが俺を見つめていた。俺は言った。


「本当に美しい星だなここは」

「そうね。私は見慣れてるはずだけど……今夜は一層きれいみたい」


 俺は結界に足を踏み入れる。だが、今回は、ポーティは結界に入ってこない。つまり……


「お別れだな」

「うん」

「まあ、いろいろ楽しかったよ、うん」


 俺は、もごもごとそう言った。今生の別れにどんな言葉を発していいか、わからなかった。

 こんなとき、ああ、俺はやっぱり子供だなあ、と思う。もっと経験を積んだなら、うまい別れの文句でも浮かぶのだろう。

 代わりにポーティが言った。


「知ってる? この国では、別れに月の詩を詠むことが多いの」

「月?」

「月が二つあるでしょう。あれを別れる二人に例えて。離れても心はひとつ。鏡に合わせたみたいに」

「なるほど。いい詩だね」


 この国の詩人は幸せだ。そう思った。この景色なら、詩もたくさん浮かぶだろう。


「元気でね」

「お前も」


 しばらく沈黙が二人の間に落ちる。俺は、ポーティとの何日にも及ぶ特訓のことや、街を観光したことや、魔王との闘いを思い出す。

 怖かったし、苦しくもあったけれど、過ぎてしまえば楽しい日々だった気がする。それも、終わりなのだ。ポーティも同じ事を考えているのだろうか。もう、俺たち、二度と会えないのだろうか。

 ……だめだ。これ以上考えると、泣いてしまう。


「じゃあな」

「じゃあね」


 ほとんど同時にそう口にした。

 ポーティが呪文を唱え始める。俺の体が上昇を始める。

 最後にポーティの姿を目に焼き付け、俺は目を閉じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます。 よろしければ、こちらもお願い致します。
JK転生物語 ~死んだらネコと合体してた~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。