79/95
090⚫️無題
宇宙空間でも、赤い酸の海でも
「幽霊船」の進む先が定まることはない。
ただ漂うように、彷徨うように、
あてどなくどこかへ向かい続けている。
無人の艦でありながら、
その砲塔は近づく「敵」を容赦なく狙い撃つ。
その一斉砲撃の前に沈んだ船は、もはや数えきれない。
今、それぞれの世界線において、それぞれの「幽霊船」を追う者たちがいる。
銀河連邦テラの宙域を往く、グレッグ率いる調査艦隊。
赤い酸の海を突き進む、「ユキカゼ」の四十二人の仲間たち。
その先にある、孤立と孤独の魂を
果たして彼ら彼女らは、救い出すことができるのか。
その答えを知る者は、どの世界線にも、まだ存在していない。




