060⚫️イチカとダンの出番 & 061⚫️火の発明者
060⚫️イチカとダンの出番
さあ、イチカ!
グレッグたちも行っちまったしな!
出かけようぜ!
さあて、次はどんな冒険が待っているのかな?”
ダンはそう言うと、わざとらしく肩をすくめ、格好をつけて宇宙艇へ向かった。
イチカも勢いよく駆け出す。
・・・また、何かやらかすぞ、このふたり。
061⚫️火の発明者
歴史の闇の中に初めて浮かび上がる実在の個人名は、意外にも王や英雄ではない。
紀元前三千二百年頃、メソポタミアの粘土板に刻まれた「クシム」という名である。
それはビールの原材料である麦芽の取引記録。
現代でいえばレシートのような事務処理の中に残された、最古の“個人名”だった。
壮大な叙事詩でも武勇伝でもなく、生活の痕跡こそが歴史の最初の声だったのである。
この「クシム」が個人名か役職名かは今も議論が続く。
だが、組織の中で責任主体として機能していたという点で、
彼は人類史上もっとも古い’社会的実在’といえる。
そして、火の発明者の名もまた、長らく闇の中にあった。
「火の発明者の名前? そんなもん、分かるはずがないぞ。」
「それがね、ダン。この惑星の遺跡から見つかったっていうのよね。」
「部長、それって’火の発明’とほぼ同時期に’文字の発明’があったってことですかあ?」
「イチカ、そうなの。ちょっと考えられないんだけど。だから、あなたたちに行ってもらいたいの。」
「オレたち、考古学者じゃないぞ。どうにもできんだろ?」
「それがね。その肝心の’証拠’を持ち去った人がいるのよ。」
「えぇえっ!でも、それって所轄惑星の管轄ですよね。」
「ところが・・・例によって無法地帯なのよねえ。」
「ふぅ・・・。で、厄介事がまたしても情報部に押し付けられたってことか。」
「で、ダンとわたしの出番なんですね?」
「そう!期待してるわね。いってらっしゃい!」
ふたりは顔を見合わせ、ため息をついた。
だが、心の奥ではワクワクしていた。
行け!
この謎を解く鍵を見つけてくれ!




