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019⚫️’それ’ & 020⚫️ウワバミの苦悩

019⚫️’それ’


’それ’は、南の大陸へ向かっていた。

距離が縮まるにつれ、海岸線の輪郭がゆっくりと形を成していく。

水際から内陸へ伸びる一本の道が見える。

その先には街や城があるはずだ。

’それ’は、ただ静かに観察を続けた。

今日は、このあたりまでだ。

そう判断し反転する。

痕跡を残すことなく、来た方角へと戻っていく。



020⚫️ウワバミの苦悩


「そうだ。高速艦を超える艦を作れ。炎に強く、小回りが効く大型艦だ。」

・・・無茶苦茶な命令だ。

そう喉まで出かかった言葉を、ウワバミは飲み込んだ。

「御意・・・。」

深く頭を下げて退席する。


’風の軍団’から抜擢され、御側御用役を仰せつかった。

だが実際は、ただの使いっ走りじゃないのよ。

あ〜あ・・・。家事もたまってるのよねえ。

一人暮らしだから誰も文句は言わないけど。

イイスギ、いや、お頭(かしら)はキキスギちゃんの養育を任せきりで、

東奔西走している。

こんな時、前のお頭(かしら)がいてくれたら相談できるのになあ。

島流しになって、もう随分になる。

生きているのだろうか。

いやいや、現実逃避してる場合じゃない。

工廠の職人もバルハイン将軍もいないんだから、

この無茶ぶりを、いったい誰に伝えればいいの。


ウワバミはため息をつき、

重臣のひとり、ダレオレのもとへ向かうことにした。



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