不穏な噂
ミラノさんがホワイトチョコレートスイーツ作りに精を出している今日この頃。
僕にはちょっとした異変があった。
【ログインボーナス・77日目】
【珈琲を手に入れました】
【ガチャ回数券を77枚手に入れました】
【ガチャ回数券が9枚あります】
【1回ガチャを回しますか? Yes or No】
【砂時計を獲得しました】
【砂時計を倒しますか? Yes or No】
今日が77日目だからだろうか。
僕はガチャ回数券を77枚も手に入れていた。
確かに、7日目には7枚貰った経験がある。
僕は慌てず騒がず受け取りの動作をした。
テッサは横で、待っていてくれてるよ。
【ガチャ回数券を77枚手に入れました】というメッセージに指で触れると【ガチャ回数券が9枚あります】のメッセージが、【ガチャ回数券が86枚あります】に変化した。
そして、砂時計を倒していく。
砂時計を倒しますか? Yesを押して、砂時計を倒す。
砂時計の絵がくるっと回り、砂が落ちていくのを眺める。きっかり30秒で絵が消えて、【ガチャ回数券を3枚手に入れました】というメッセージに指で触れるとこうなった。
【ログインボーナス・77日目】
【珈琲を手に入れました】
【ガチャ回数券が89枚あります】
【1回ガチャを回しますか? Yes or No】
【10回ガチャを回しますか? Yes or No】
「テッサ。10回ガチャが8回出来るよ」
「ラッキーじゃん。どんどん回そうぜ」
「そうなんだけど、少なくともファウト鋼は40個を越えるでしょ。持ち運びが大変だから、テッサの家でガチャを回す方が良くない?」
「それは思い付かなかった。宝石は大丈夫なのかよ?」
「布袋に入れて隠すよ」
「じゃあ、俺んち行こうぜ。俺の部屋でガチャを回そう」
というわけで、テッサの部屋にやってきた。
思っていたよりスッキリした部屋で、本が多い印象である。
鉱石がゴロゴロしてるイメージだったから、随分違うよね。
「じゃあ、ガチャ回すよー」
「よし、来い!」
【ログインボーナス・77日目】
【珈琲を手に入れました】
【ガチャ回数券が89枚あります】
【1回ガチャを回しますか? Yes or No】
【10回ガチャを回しますか? Yes or No】
10回ガチャを回しますか? Yes を押し、ぐるぐると回る絵を眺める。
10枚のカードが並び、順番に光っている。
白いカードが8枚、青いカードが1枚、赤いカードが1枚だ。
カードに触れると、くるりと回り、中の絵があらわになる。岩のような絵が見えて、ファウト鋼が虚空から現れた。
出てきたファウト鋼をテッサに渡す。
「どんどん渡していくよー」
「どんと来い!」
残りのカードを順番に開いていく。出たものはテッサに渡していく。
結果は、ファウト鋼が6個、魔導コイルが2個、ルビーが1個、ミスリルが1個だった。
「テッサ。残り7回、一気にやっていくよ」
「こっちは準備できてるぜ」
10回ガチャを回しますか? のメッセージが出なくなるまでガチャを回して、得られた成果物はかなりの数だった。
まず、ファウト鋼が40個、魔導コイルが18個、アレキサンドライトが2個、ルビーが2個、サファイアが1個、コッコ銀が2個、ミスリルが5個である。
テッサが鉱石で埋もれているけれど、表情は明るい。
鉱石の買い取り金額は高額な為、後でヤッコムさんが持ってくるそうだ。
早速ファウト鋼で剣を打つというテッサに、僕はお暇を告げて自宅へ戻った。
布袋に隠した宝石を持って、母さんの部屋へ向かう。
コンコン
ノックをして部屋に入ると、甘いチョコレートの匂いが香った。
「カッスィー、いらっしゃい。今、チョコレートボンボンの味見をしていたところなの」
「お酒が入ったチョコだね。僕は食べれないけれど、美味しい?」
「とっても美味しいわ。お酒を液体のまま包むという細工も面白いし、きっと王妃様にも気に入って頂けると思うわ。それで、どうしたの?」
「ガチャ回数券が77枚手に入って、ガチャを8回回す事が出来たんだ。宝石が6個出たから預けに来たんだ」
母さんに布袋を渡して、僕は改めて向き直る。
「まぁ。そんなに? はい、確かに預かりました。ハイド男爵家に買い取って頂きましょうね」
「うん。スイーツ作りは順調なの?」
「ええ。美味しいレシピがいくつも出来ているわよ。このチョコレートボンボンもその一つね」
「スイーツの献上って、なんだかお祭りみたいだね。冒険者の人は雇えたの?」
「それがね、盗賊が出るという噂があって、Bランク冒険者を雇ったんですって」
「ええっ、盗賊?!」
僕はびっくりしてしまった。
盗賊なんて、物語でしか見たことがない。
「明後日は私達も一緒だから、安心して頂戴ね。気をつけて行きましょう、カッスィー」
「うん」
僕は頷きを返し、どんな冒険者が来るんだろうと、わくわくしていた。
おやつの時間になり、食堂へ向かう。
今日は父さんと母さんも一緒だ。
メニューは、チョコレートフォンデュ。
溶かしたホワイトチョコレートにクッキーや果物をつけて食べてみる。
「美味しいっ! 色々選べていいね」
茶色いチョコレートのチョコレートフォンデュも用意されており、食べ比べが出来るようになっていた。
「両方食べ比べが出来ていいわね」
「意外と酒とも合うな」
父さんはブランデー入りの梅酒が気に入ったみたい。
「そして次に、ホワイトチョコレート餡の大福です」
ミラノさんが全員に配膳してくれる。
「あんことホワイトチョコレートが合ってる!」
「本当ね。美味しいわ」
「ああ。うまい。ミラノ、ご苦労様」
「とんでもありません」
ミラノさんは一礼し、食後のお茶を淹れてくれた。
「大体の献上品はこれで揃った。あとは明後日、無事に着くだけだな」
「父さん、盗賊が出るんだって?」
「そうなんだ。噂で済めばいいが、万が一があっても困る。奮発してBランク冒険者を依頼したエドの勘を信じよう」
「うん。もし現れても、冒険者がやっつけてくれるんでしょう?」
「勿論だとも。そのために雇うんだからな。当日は馬車で二手に別れるから、お行儀良くするんだぞ」
「うん、わかった」
道中僕に出来ることって大人しくしてること位だよね。
格好良い冒険者だといいな。
お読みいただき、ありがとうございました。
もし面白い! 応援してるよ! と思ったら、
↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!




