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魔法使いになった俺、ちょっと実家に帰りたい  作者: ぼっち飯


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第32話:ギルド長ガルド

新キャラ・ガルドさんです。ザックの後釜を押し付けられた人です。

新しいダンジョンが見つかり、ヌフの町は活気に満ちている。どのパーティが最初に攻略するのか、一体あのダンジョンは何階層まであるのか。外からの見た目は二十階に見える白い塔だが、既に四十三階より先があることが報告されている。


冒険者連中の話をまとめ辺境伯への報告書を書きながら、固まった体をほぐすように伸びをしたところでノックの音をさせながらドアが開いた。


「ようガルド!生きてるか?」


「ザック…。ノックの意味…。」


「入られたくなかったら鍵をかけるんだな!どうせ昼飯まだだろ。ルネス特製サンド、一緒に食おうぜ。」


返事を待つことなく慣れた手つきで書類の山を器用にずらし、バスケットをドンと置くザック。ありがたく中身をひとついただく。野菜少なめ肉マシマシのスタミナサンド。皆で冒険していた頃を思い出す、懐かしい味だ。


「そういや皆何してんのかね。師匠の墓参りに来てる形跡はあるんだが、レイだけもう何年も顔を見てねえ。」


「俺もだわ。ルネスがたまに連絡取ってくれてるんだが、相変わらず引きこもって研究三昧だとよ。」


「楽しそうで何よりだよ。」


俺達は冒険者パーティの仲間だった。もう皆すっかりおっさんになって解散したのだが、もともと拠点にしていたこの町にとどまっているのは俺とザックの二人だけ。


「いやー、やっぱりガルドにギルド長任せて正解だったわ。ライゴウ様が報告書が読みやすいってほめてたぞ。その流れで俺、書類の書き方で怒られたんだが。酷くね?」


「ライゴウ様も苦労してそうだな…。」


ザックを一言で言うなら「頼りになる怠け者」だ。めんどくせー、やりたくねーと言いながら普通の奴より成果を上げるんだから、傍から見ているとやってられない気持ちになっただろう。パーティの立ち上げメンバーだった兄に誘われて後から入った俺が見たのは、楽するための努力を惜しまない不思議なリーダーだった。

冒険者には珍しく、ザックは貯金ができる奴だった。目標の金額が貯まったら冒険者を辞めて悠々自適に暮らすんだ、と酒場でしょっちゅう言っていたせいで強盗に入られるという事件があったが逆に捕まえて憲兵に引き渡して報奨金を受け取っていた。この手でもうちょい稼げそうだとニヤついていたのが忘れられない。


パーティ解散の時、周囲は非常に驚いていたがそもそもあのパーティは手っ取り早く稼ぎたいからという理由で結成されたものだったので、メンバーはあっさりそれぞれの人生を歩き出した。特にやりたいことがなかった俺は、ギルド長にされたザックに誘われてギルドの職員に転職した。


ザックはすごかった。ライゴウ様が説得した理由がわかる。言葉で、時には拳で冒険者達をまとめあげ、ギルドの仕事のやり方を簡略化した。そして仕事ができる人間を育てるシステムを作り、…俺を後任に据えて仕事を辞めやがった。解せぬ。そんなに働きたくないのかザックよ。


そんなザックも新ダンジョンのせいでちょくちょく古巣に顔を出す事態となっている。


「ルーク達から新しい情報はあったか?」


「それなんだけどな、この前三十階層までの分の報告は受けたから今あいつらは三十五か四十あたりまでは行ってると思う。あと一週間ほどで戻る予定だ。」


ルーク達『銀翼』は最速の称号を求めていない。死なない程度に楽しくやりたいと笑っていたのが印象的なパーティだった。最近訳アリの二人組を引き取って面倒見てくれているが、正直ああいう面倒見の良い奴らは貴重だ。なにしろ冒険者には自由な奴が多すぎる。


「ロースんとこのディヒトは問題ないとして、アラタ、あいつは大丈夫そうなのが意外だったな。魔法使いとしてやっていけそうなのか?」


「フォンゾが結構気に入って世話焼いてるらしい。なんか新しい魔法の開発をし始めたらしいぞ。」


「そんな簡単に新魔法を編み出されてたまるか。でもまあそんなに向いてるんなら、レイに合わせてみても良いかもな。」


「そうだな。ボス部屋の謎の件だが、部屋の床が光ってることがあるという情報が何件か来ていただろ。それをルーク達に調べさせているんだが、アラタが数字だって言い出したらしい。」


「本当か。あいつ記憶戻ったら大変なことになりそうだな。行儀が良すぎるし、絶対どっかの貴族の子だろ。」


「だからライゴウ様に定期報告入れてるんじゃないか。それとなく調べてもらってもいるけど、国内でも隣国でも行方不明の貴族の話が入ってこないそうだ。海の向こうとかだったらお手上げだな。」


「…余計なトラブルにならなければ良いがな。」


溜め息をついて書類の山に目を向ける。


「この三日でまた山が高くなったな。」


「そうなんだよ。まあザックが書式を作ってくれたおかげでだいぶ楽ではあるがな。」


「仕方ない、手伝ってやろう。」


どうせライゴウ様に持っていくからな、と言いながらいそいそと新ダンジョンの情報をまとめ始めるザック。面倒くさがりのクセに、きっと最初から手伝ってくれるつもりであっただろう元リーダーの姿に頼もしさを感じつつ仕事に戻る。


ザックの作った有給の制度を使ってみようと思っていた矢先に新ダンジョンができたせいでまとまった休みを取れていない。こういう事態のマニュアルでも作って、どんなに忙しくとも休みを確保できるようにしたいと願う俺はザックの影響を受け過ぎたのかもしれんな。


さて、俺もそろそろ後任を鍛えるか。

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応援してくださる方、本当にありがとうございます。

読んでくれている誰かがいるってわかるのは、結構テンション上がります。


ではまた来週土曜日に。

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