67話 物資到着2
「お前さん達待たせたの」
救護院の中へ戻っていたミザリーから声が掛かった。
「荷物を入れる場所はこっちの方じゃ。見てもらえるかの」
「はい」
「承知いたしました」
「……はいっす」
ミザリーに促されてロメオ達三人は屋内へ移動する。
「……マーフィさん。救護院の中ってこんな感じだったんですね」
「ああそうだな」
マーフィに続いて歩いていたロンは、建物内をきょろきょろ見渡すと、マーフィの服をクイッと引っ張リ遠慮がちな声で囁く。
これといって目を引く建造物ではないが、救護院は大勢の人間を収容できるよう大きく作られている。
建物の外観を一言でいえば、教会を少し堅牢な造りにした感じといえばしっくりくるだろうか。
建物内に入ると廊下がT字を逆にしたような形に分かれているのが見えた。
左へ行けば階下へ続く階段があり、その先に複数の部屋があり、そこに少し前に話題に上がった越境者達を隔離していると説明を受けた。
奥に向かって伸びる廊下は両側を壁で挟まれ、左側に扉が一つ、右側の壁に扉が二つ付いていることから、一階には三部屋あるようだ。
ミザリーは真っすぐ進むと、扉が二つ並んでいる方の奥側の扉を開けた。
後に続いて中へ入ると部屋の一角に十字架が掲げられているのが見えた。
窓ガラスにはステンドグラスが設置され、部屋に差し込む光に彩りを添えている。
教会の役割も兼ねた部屋と思われる。
「儂が説明するのもなんだが、国の救護院はどこも大体こんな感じだの」
ロンの先ほどの問いかけにミザリーが補足する。
「荷物はそうじゃな。この辺の椅子を端に寄せて、奥から積み上げてもらうかの」
ロメオ、マーフィー、ロン達は荷馬車に戻ると、ミザリーの指示通りに物資を運び始めた。
途中から手の空いた護衛騎士達も参加して粛々と作業をこなし、小一時間ほどで搬入は完了した。
「ミザリー様。これで当商会からの物資は全てになります。こちらにサインを頂けますでしょうか」
ロメオは懐に仕舞いこんでいた書類と羽ペンをミザリーへ手渡す。
荷物の受け渡しは依頼人のサインを貰って完了となるのだ。
「三人共ご苦労じゃったな。バルザックに恩に着ると言うといてくれ」
「はい。主にはそのように申し伝えます」
サイン入りの書類を受け取りながらロメオが頷く。
「さて、お主達の依頼は物資を運ぶまでと聞いておるがこのまま帰るかの?」
マーフィとロンはロメオの方を見る。一行の決定権はロメオにある。
「恐れながらミザリー様。物資を運んだ後、主より皆様へ食事を提供するよう申し付かっております」
「あっそういえば旦那様はそんな事仰っていたっけ」
ロンの頭には指示されたことが綺麗さっぱり抜け落ちていたようだ。
「となると護衛の俺はどうすればいいんだ」
マーフィーは心の中で「……俺は食事が作れねえ」と呟く。
「マーフィさんも頭数に入ってますよ。簡単そうな事をお願いしますから安心して下さい」
「お手柔らかに頼む」
マーフィはロメオの笑顔に 若干引き攣りながら返事を返した。
ロメオは救護院の簡易キッチンを拝借すると、あれよあれよと言う間に、食事をこしらえていった。
なんでも、料理に特化したスキルがあるらしく、作業自体はとても楽にできるらしい。
そういえば、道中食べていた軽食が中々美味かったなとマーフィは思い返していた。
あらかじめ作られたものをロメオから手渡されて食していた。
誰が作ったのかまでは気にもしてなかった。
毎回新鮮な物を口にしていたことから、ロメオはアイテムボックスも持っているのだろう。
軽めの酒も提供され、マーフィー達は皆と食事を取りながら束の間の休息を楽しんだ。




