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37話 森の秘密

「なっちゃん。何かいいことでもあった?」

「んん?」


 つい鼻唄交じりで準備していたら、気づいた亮さんが声を掛けてきた。


「いいこと? そうね声が出るようになったし、この前の雑草も高く売れたし、ポーション作りも楽しいから、何か最近調子出てきたなと思って……」


 野中家一攫千金ボックスは今のところ二百五十万円が入っている。薬草代にポーション作成代も加算されて短期間でよくここまでやったなと思う。

 へんぴな所の中古物件なら何とか手が届きそうな金額だ。


 今はまだ休職中だ。その代わり薬師堂に通っている。

 その薬師堂は相変わらず毎日行列が出来るほど繁盛していた。


 私が以前に行列を見かけた頃から続いているとローランさんは言っていた。

 おかげで作った分はその日に捌けて在庫を持て余すこともない。


 ポーション作りは、段々コツが掴めてきて一度に作れる量が増えた。

 今は即戦力として期待されているのが素直に嬉しい。


「そうそう薬師堂でね。常連さんと話す機会があったんだけど……最近、薄紫色のポーションが出回っていて評判良いんだって」


「へぇ–薄紫色ね。ポーションにそんな色あるんだ」


「そうなんだよね。それにポーションは同じ色でも濃さの違いで効果に差があるみたいだし……」


 普段ポーション作りで作業場に篭りきりだけど、休憩で外に出る事もある。その時に常連さん達と挨拶を交わす程度の事はしていた。


 その中でもよく話をするジョンさんが他所で出回っているポーションの事を教えてくれた。

 作る側に回るとよそ様で作られている物に興味が湧いてくる。

 

機会があれば鑑定してみるのもいいかもしれない。ミザリー様直伝の魔力を高める方法で毎日練習していたおかげで簡単な物なら、私でも鑑定することが出来るようになっていた。


 これまたこの世界限定だけど、野菜の鮮度とか、食べられる物かそうでないかが数値だったり、単語がポンと物の上に浮かび上がって教えてくれる。見分けるのが大変なキノコもこれさえあれば大丈夫。ほんとこれ便利だよね。


「なっちゃん。一応言っておくけど、この前の事もあるから一人で知らないところに行く事はしないでよ」

 話の最中、亮介はこれは言っておかねばという顔をして菜摘に言った。


「うん。今の所ノエルがいつもいるからその辺は大丈夫だと思う」


 私だってごめんだ。もう痕も残っていない手首に触れながらそう思った。


「それじゃ行ってくるね!」

「気をつけて!」


 準備を済ませいつものように『彷徨いの森』を目指す。

 ノエルは普段『彷徨いの森』の木の家に住んでいる。


 森の中は何かのパワーが満ちているらしく、其処にいるだけでノエルの何かが高まるらしい。説明してくれたけどよく分からなかった。

 森の中の静謐さや空気が美味しいのは私でも分かるけど。


 一緒にいてやれなくて、淋しい思いをさせていないか気になってたけど、ここでの暮らしを存外気に入ってるみたいだから良しとしよう。


「ノエルいる?」


 到着すると木の家にノエルの姿はなかった。


「暇つぶしに狩リにでも行ったのかな?」


 いつも薬師堂へ付き添ってくれるノエルに今日はラン〇〇ックを色々持ってきた。

 お薦めは王道のピーナッツ味。目をきらきらさせるノエルの顔が浮かぶ……ふふ


 ノエルを待つ間、私は日課となった魔力を高めるための訓練をすることにした。

 

 呼吸法がいまいちなんだよねー。邪念が多くて精神統一するのも一苦労。


「考えるな……感じるんじゃ!」


 いつか聞いた映画のセリフと似たような事をミザリー様に言われた。


 平らな切り株を見つけて座る。

 目を閉じて、手のひらを上下に重ねると手のひらの中に光の玉を出して、それをどんどん大きくしていくようにイメージをする。これをゆっくり少しずつ大きくしていくのが難しい……


「ふー」

 しばらく集中していると額に薄っすら汗を掻いた。


 汗ばんだ顔を拭きながら何気に周りを見ると誰かに見られているような視線を感じた。


「またこれか!」


 前から時折同じような感覚が合って気になってはいたけれど。魔力が高まるにつれ確信した。


 視線を移すと少し離れたところに向日葵に似た花が咲いているのが見えた。正面を向いてる物や花弁が下を向いている物があったリ方向がバラバラだ。


「へえー花って同じ所を向いてるわけじゃないんだ」


 少し観察して見ようと近づく。正面を向いてるのと下を向いてるのを交互に私は見た。


「…………」


 心なしか正面を向いてる花がまるで顔を逸らすように向きを変えた。


「うそー……」


 下を向いている方は顔を隠すかのように、葉っぱに花弁がくっ付いている。


「何これ! 動いてる!」


「あっ菜摘気づいちゃった?」


 振り向くと後ろにノエルが立っていた。


「ノエルこれいつから知ってたの?」


 私は指指しながら、ノエルの知ってる発言に思わず聞いた。


「初めからだよ」


「初めから?……」


「怖がらなくていいよ。みんな菜摘達の味方だから」


「みんな? 皆んな……って誰?」


 ノエルはそういうと、


「ウオォーン」

 と吠えた。


「バサバサバサ! サワサワサワサワー」


 風も吹いて無いのに森の中から音が聞こえる。向日葵みたいな花達は左右に揺れ出した。真上の大樹の葉っぱはざわざわと激しく揺れている。


「えーとよく分からないんだけどノエル。この森が味方ってこと?」


「……えっとね……植物達かな?」


 ノエルは適当な言葉が見つからないのか首をかしげてそう言った。

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