9 変化
巨大化した銅像のお化けは、かなりこわかった。
太いうでが、ブンッとふるわれると、たたき落とされそうだし、それに、あのうでが当たったら、かなりいたそうだ。
枯れ葉はすばしっこく動くので、なんとか当たらないですんだ。
銅像のお化けがみんなのほうに行こうとするたびに、ぼくは指てっぽうをうった。
命中すると、銅像のお化けはふり返って、ぼくになぐりかかってくるのだ。
「わああああ!」
枯れ葉がじょうずによけてくれるけど、こわくて何回もさけんだ。
葵君がおうえんしてくれてる。
太郎君が信じてくれてる。
夢でくらいは、がんばらないと。
ぼくはぼくが本当にキライになってしまう。
こわくても、さむくても、つかれて苦しくても、ぼくは指てっぽうを何回もうった。
「雪雄!」
達也君の大きな声が聞こえた。
ドキッとした。
達也君がさけんだ。
「ごめん!助けてくれたのに、ひどいこと言った!マジでごめん!」
びっくりした。
本気みたいだ。
キャアアア!銅像のお化けは悲鳴をあげて、少し小さくなった。
そしたら、ほかのみんなも次々、言いはじめた。
「ごめん!雪雄!」
「雪雄君!疑ってごめんなさい!」
「にらんでごめん!」
「助けてくれてありがとう!」
なんだよ。
急になんだよ。
お化けがこわいからって。
いきなりやさしくなるなんて、おかしいよ。
ひねくれた気持ちが出てきたけど、それに逆らうみたいに目から涙がポロッと出た。
目のおくがツーンとした。
もしかして、うれしいのかな、ぼく。
銅像のお化けはどんどん小さくなっていった。
ふつうの大人くらいだ。
手のひらの白い石を見た。
少し光ってる。
でも、きっとたりない。
まだだ。
ぼくは、あせる気持ちになって、太郎君を見た。
太郎君はてぶくろをしたこぶしを口に当てて、下を向いて、むずかしい算数問題をしているみたいに考えこんでいた。
まだだ。
太郎君の答えもまだ見つかっていない。
ぼくがもう少しがんばらないといけない。




