温かい家
[異能を発動します。]
審判が言ってた異能ってこれか…!
「うっ…!」
突然体に突き刺さるような痛みが走った。
「どうしたの?どこか痛む?」
スアンさんが心配そうな顔で言う。
「いえ、大丈夫です。」
ピコン
[異能"コネクト"を獲得しました。]
[認識可能な抽象的なもの同士を繋げることができます。]
抽象的なものを繋げる異能…そうだ!!
「これなら外に出られるかも!!」
「え?脱出できる方法思いついたの?」
その時突然城が揺れ、崩れ始めた。
「なに!?」
壁や地面にヒビがはいり、瓦礫が天井から落ちてくる。
「まずい!城が崩れ始めた!」
俺は目を閉じ、点と点を繋ぐように頭に思い浮かべた。
ここは実際に存在しない異空間…つまり抽象だ。そしてこの城に出口はない。ならここがこの空間の到達地に値する。
そして俺の異能は抽象同士を繋げられる。
「え!?何これ!」
青いワープゲートが現れた。
「皆さん!早くこの中に入ってください!」
「これヤマトが出したの!?」
「詳しいことは後で話すので!早く!」
きっとこの先はゴールの逆、スタート…つまりヒビの入口に繋がっているはず。
「とりあえず行きましょう!」
この時俺の頭にはある疑問が浮かんだ。
ここでこのまま帰ってもこのエネルギー源がここにある限りヒビは消えず、世界の破滅は止まらないんじゃ…?
スアンさんとアンナさん、そしてイーゼンさんが俺の作ったワープゲートに入り、ハユンが入ろうとしたその時、体の力が抜けて意識が薄れていく。
あれ…なん…で…
まるで体が裂けるかのような激痛が襲った。
痛い…!クソッ、なんでこんな時に!
「掴まれ!」
ハユンは俺の体を抱えてゲートの中へ入った。しかし体の痛みは治まらず、意識は深い底へ引きずり込まれた。
「ここは…戻ってきた!!」
「そのようだな。」
「ってヤマト!?どうしたの!?」
「わからない。突然倒れたんだ。」
「救護班を近くに待機させてます。今呼んだのですぐに来るはずです。」
「ヤマトさん…目を覚ましてください…!」
そんなメンバーの想いとは裏腹に、俺が次に目覚めたのは1週間後だった。
「…んん…」
目を開けると見慣れた天井だった。頭の中を整理する。
確か俺はあの時気絶して…誰かが家まで連れて来てくれたのか。
「はぁ…」
頭がズキズキする。それに体が熱いような気もする。
ガチャン
「お邪魔しま…ヤマトさん!?気がついたんですか!?」
「アンナさん。どうしてここに?」
「ちょっと待ってください!皆に連絡します!」
アンナさんは慌ててスマホに文字を打ち込んでいた。
「あの、俺どのくらい寝てたんでしょう?」
「ヤマトさんが眠ってからもう1週間ですよ!本当に心配したんですから〜!」
1週間!?俺はそんなに寝ちゃってたのか…でも一体なぜ…?
涙を流して安堵する彼女を見て心が温まった。こんなに俺のことを心配してくれるなんて。
「まさかそんなに眠ってたなんて。ご心配おかけしました。」
「そんなの気にしないでください!」
「それで、アンナさんがどうして俺の部屋に?」
「私達メンバーでかわりばんこでヤマトさんの看病してたんです。」
「え…皆さんが?ご迷惑おかけしました。ありがとうございます。」
「いいんですよ。無事だったならそれで。ヤマトさんは大切な仲間なんですから。」
アンナさんは本当に優しいな。
鉛のような重たい体を起こそうとしたその時、心臓辺りに神経を刺すような鋭い痛みが走った。
「いっ…!」
「無理しないでください!まだ起き上がったらだめですよ。」
なんだ?何でこんなに体が痛むんだ…?何処かにぶつけたような記憶はない。
その時、勢いよく扉が開いた音がした。
「ヤマト!目が覚めたのか!」
イーゼンさんとスアンさん、そしてハユンが部屋に入ってきた。
「心配したんだから!!」
「皆さん俺の看病してくださってたんですよね。ありがとうございました。」
「そんなの気にしないでいいのよ。友達でしょ?」
友達…その言葉に俺は深く感動する。メンバーの皆俺とは仲間だから仲良くしてくれてるんだと思っていた。まさかそんな風に思ってくれていたなんて…
涙が溢れそうだった。
「体の調子はどうだ?」
「あ、それが…まだ少しだるくて。」
ハユンが俺のおでこに手を当てる。
「まだ熱があるな。」
「そんな…どうしてこんなに長引いてるんでしょう?」
「…今はとりあえず安静にするんだ。お前達3人は仕事に戻ってくれ。ヤマトに話があるから。」
「わかりました。」
「ヤマト、早くよくなれよ。」
「絶対無理しちゃだめだからね。」
「ヤマトさん、お大事に。」
「はい。ありがとうございます。」
そうしてハユンを除くメンバーは家から出て行ってしまった。
ハユンは何かを考えているような顔でじっと俺を見つめる。
「…なんすか?」
「ちょっと失礼するよ。」
そう言うとハユンは突然俺の服をめくった。
「うわぁぁぁ!!何してんだこの変態野郎!!」
この野郎、気でも狂ったのか!?




